ドル売り優勢でドル円は132円台に下落 米PPIの伸びが大幅に鈍化=NY為替概況
ドル売り優勢でドル円は132円台に下落 米PPIの伸びが大幅に鈍化=NY為替概況
きょうもNY為替市場は前日の流れを引き継いで、ドル売りが優勢となり、ドル円は132円台に下落した。朝方発表になった3月の米生産者物価指数(PPI)の伸びが大幅に鈍化したことで、ドル売りの動きが見られた。
米PPIは総合、コアとも前月比で予想外の低下となり、パンデミック以降では最大の低下となった。サプライチェーンの正常化やコモディティ価格の下落で、生産者物価は鈍化傾向を鮮明にしている。しかし、エネルギーについては、OPECプラスの減産によって原油相場が上昇しており、PPIの伸び鈍化は向こう数カ月、限定されるとの指摘も出ている。
前日は3月の米消費者物価指数(CPI)が発表されたが、先週の米雇用統計と伴に、市場は5月FOMCでの0.25%ポイントの利上げを正当化する内容と捉えている。一方で市場は、早期利上げ停止および年内利下げ期待も同時に高めており、為替市場はドルは売りで反応している。
一方、米CPIを通過しても、市場の雰囲気は悪化しておらず、米株式市場も底堅い推移を継続。加えて、就任したばかりの日銀の植田新総裁も緩和解除に関して慎重姿勢を崩していないことから、同時に円安の流れもあり、ドル円は下値をサポートされている。そのような中で、市場は次の展開待ちといった雰囲気が強まっているようだ。
ユーロドルは買いが続いており、1.10ドル台を固める動き。本日は一時1.1070ドル付近まで上昇し、年初来高値を更新した。市場では、ECBがよりタカ派な金融政策を取るというコンセンサスが強まっており、短期金融市場では、ECBは9月までに計0.75%ポイントの利上げを実施する可能性を織り込んでいる。これは3月初旬のSVBの騒動以来初めて。
半面、FRBの方はほとんど変化しておらず、次回の5月のFOMCで0.25%ポイントの利上げを実施した後は、利上げを一時停止し、早ければ、夏以降にも利上げの可能性も織り込む動きを続けている。
ユーロドルは1.10ドル台を固め、上値へのレベルシフトから、もう一段の上値を試すか注目される展開が見られている。
ポンドドルは買いが続いており、1.25ドル台に再び上昇。一時1.2535ドル近辺まで上昇し、年初来高値を更新した。本日は2月の英月次GDPが発表になっていたが、前月比で横ばいとなった。一部からはマイナス成長の予想も出ていたが、それは回避されている。この結果を受けて市場からは、英中銀がインフレを目標の2%まで押し下げるためには、追加利上げが必要になる可能性が高まったとの指摘が出ている。
第1四半期(1-3月期)の英経済はリセッション(景気後退)を回避した可能性が高いという。第1四半期がマイナス成長となるには、数字上で3月の月次GDPが0.5%超減少する必要がある。そのうえ、英経済がインフレと金利に対する耐性を示しており、第1四半期の英経済のリセッションは考えにくいとしている。
インフレを目標の2%まで引き下げるには、景気をさらに減速させる必要があるが、今後は利上げによる景気下押し効果が出てくることや、銀行問題への懸念の高まりによる金融環境の引き締まりで、景気は鈍化して行くであろうとも述べた。
英月次GDP(2月)15:00
結果 0.0%
予想 0.2% 前回 0.4%(0.3%から修正)(前月比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。