ドル円は上下動 ECBは予定通りに大幅利上げ=NY為替概況
ドル円は上下動 ECBは予定通りに大幅利上げ=NY為替概況
きょうのドル円は上下動。一時戻り売りが強まり131円台まで下落する場面も見られたが、133円台半ばに急速に戻す展開。きょうも金融システムを巡って波乱の1日となったが、複数の金融機関による預金の形でのファースト・リパブリックへの300億ドルの支援が決まりそうなことなど、とりあえず小康状態となったことが好感された。
また、前日はクレディスイスの信用不安が高まり、市場も乱高下したものの、スイス当局が具体的な支援方針を打ち出したことから、この問題に対する警戒感はひとまず後退している。
ただ、今回の問題による金融システムへの信頼感の低下が、この先の景気にどのように影響するのかを見極めたい雰囲気もあり、投資家のリスク許容度は完全には回復していない。また、今回の件でFRBがどう対応してくるかも確認したい意向もありそうだ。
この日はECB理事会の結果が発表され、市場の予想に反して、コミット通りに0.50%ポイントの大幅利上げを実施した。ただ、今回は金利の道筋についてのヒントは出さなかった。利上げを見送る、もしくは0.25%ポイントに縮小すれば、金融システムの問題が存在することを認めた形となることを避けたかったのかもしれない。
FRBも来週にFOMCを控えているが、据え置きの期待も一部にはあるものの、市場では0.25%ポイントの利上げを実施してくると見られている。確率は80%程度で織り込まれている。
ユーロドルは1.06ドルを挟んで売買が交錯。ECB理事会後のラガルド総裁の会見はタカ派姿勢は崩していない。総裁は「インフレが高過ぎる状態が長く続くと予想している」と述べていた。
ECBは次回以降の金利の道筋に対するヒントは出さなかったものの、タカ派姿勢は堅持しているといった印象。短期金融市場では次回5月の理事会での0.25%の利上げを織り込む動きが出ている。ただ、ユーロドルは理事会を経ても方向感は出なかった。
ポンドドルはロンドン時間に一時1.20ドル台前半まで下落していたものの、NY時間にかけて1.21ドル台に買い戻されている。本日1.2030ドル付近に来ている21日線でサポートされた形となっており、底堅い推移を続けている。ポンドは今年に入ってG10通貨の中でパフォーマンスが良い。
前日はハント財務相が春季予算案を議会に提出していた。その中で英政府は、4月1日に3000ポンドに引き上げる予定だった標準世帯のエネルギー価格上限保証を年2500ポンドのまま3カ月延長すると発表した。それにより、今年の残りの期間の総合インフレは約1%ポイント押し下がり、インフレは2%前後で今年を終える可能性が高いとの予想が出ている。
英中銀にとっては利上げ停止に向けた良い口実になるが、来週の金融政策委員会(MPC)では0.25%ポイント利上げが有力視され、短期金融市場は現在、70%程度の確率で織り込んでいる。一方、そこで利上げ打ち止めの可能性を示唆してくるとも見られているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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