ドル円は134円台前半に伸び悩む バーキン発言でドルに戻り売り=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドルの戻り売りが優勢となり、ドル円は134円台前半に伸び悩んだ。ロンドン時間の朝方には瞬間的に135円台を付ける場面も見られていた。今週のインフレ指標や米小売売上高などの一連の米経済指標を受けて、市場には再びタカ派な雰囲気が広がっている。FOMC委員の米地区連銀総裁からのタカ派発言も相次いでおり、市場は想定以上の利上げおよび高金利長期化への懸念を強めている。
特に、FOMC委員の中でもタカ派として知られるブラード・セントルイス連銀総裁が前日に、0.50%ポイントの大幅利上げを支持する発言を行ったことで、市場では次回3月FOMCでの0.50%ポイントの利上げの可能性も意識され始めている。3月FOMCでの0.50%ポイント利上げの確率については、週初は10%程度に留まっていたが、20%程度まで高めている状況。
ただし、きょうのドルの戻り売りは、バーキン・リッチモンド連銀総裁が「データへの柔軟な対応を可能にするため0.25%ポイントの段階的な利上げを支持する」と述べたことに反応した可能性もありそうだ。
ユーロドルは1.07ドルちょうど付近まで買い戻された。ただ、1.06ドル台半ばに強い下値抵抗も観測されていたが、きょうのユーロドルは一時1.06ドル台前半まで下落していた。
ユーロの動きとは裏腹に市場ではECBの利上げに対する期待がさらに高まっている。短期金融市場ではECBの中銀預金金利のターミナルレート(最終到達点)対するプライシングが上方修正されており、本日は3.75%までの上昇を完全に織り込む動きが出ている。それに伴ってユーロ債利回りも上昇した状態で取引されている状況。
2月のラガルドECB総裁の理事会後の会見以降、市場はターミナルレートの予想プライシングを約0.30%ポイント引き上げている。もっとも市場の一部からは、現在市場が織り込んでいるターミナルレートの予想水準はやや行き過ぎな面もあるとの指摘も出ているようだ。
ポンドドルは買い戻しが強まり1.20ドル台半ばまで戻す展開。きょうは一時1.19ドル台前半まで下落し、200日線を下回る局面も見られていた。いまのところは200日線でサポートされている状況。
市場からは、英中銀は3月にもう1度0.25%ポイントの利上げを実施して、今回の利上げサイクルを一旦終了する可能性が高いとの見方が出ている。1月の英消費者物価指数(CPI)が予想以上に低下したことは英中銀にとって歓迎すべきことであるという。
しかし、インフレの持続性に関する懸念を大幅に緩和するためには、英中銀が予想していた季節項目(旅行・レジャー)以外のサービスインフレに緩和の兆しが見られることが必要だとも指摘。
最新の英雇用統計では賃金の伸びが加速しており、英中銀はインフレ見通しに大きな上振れリスクがあると見ている。そのため、3月にもう1度0.25%ポイントの利上げを実施するとも言及した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。