ドル円は128円台で推移 もう一段の下値追いも警戒=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間にかけて買い戻しが優勢となり、128円台に戻した。日銀の政策修正への期待が剥がれ、再び円高期待が高まる中、ドル円は127円台に下落していた。しかし、景気の先行き不透明感から、米株式市場に戻り売りが強まり、リスク回避のドル買いがドル円の下値をサポートしている状況。
ただ、ドル円は戻りも鈍い印象で安値圏での揉み合いが見られている。直近安値の127円台前半をブレイクし、もう一段の下値追いも警戒される値動きではある。
今週発表になっている米経済指標は弱い内容が多い。市場ではFRBの利上げ期待の修正が起きているが、同時に景気の先行きへの不安感も高まっている状況。ドルはFRBの利上げ期待の後退による売りとリスク回避の買いで売買交錯となっている印象もある。ただ市場は、特に欧州と中国での成長期待に好転が起こっていることから、目先はドルの下振れリスクが高まるとの見方が優勢となっている模様。
ユーロドルはNY時間に入って再び1.07ドル台に伸び悩む展開がみられたが、下押す動きもない中、1.0835ドル付近まで戻している。
ユーロは下値を支えられている。ECBが2月に0.50%ポイント利上げを実施後、3月は0.25%ポイントの通常利上げに戻すことを検討との報道が伝わっていたが、市場では今週のダボス会議でECB理事らが、その報道を否定してくるとの見方も出ていた。
前日はビルロワドガロー仏中銀総裁、本日はクノット・オランダ中銀総裁がいずれも、0.50%ポイント利上げを当面続ける必要性を強調。また、本日はラガルドECB総裁の発言も伝わり、「インフレはあまりにも高過ぎる。目標に戻す取り組みを緩めることはしない」と言及していた。市場の観測通りではあった。
本日は12月分のECB議事要旨が公表されていた。多数の理事が当初は0.75%ポイントの利上げ求めていたことや、最終決定は0.75%ポイント利上げと同等との認識を示していたことが明らかとなった。一部の理事は、より速いペースでの量的引き締めを主張していたようだ。12月の理事会はタカ派色が強かったことが示唆されている。
ポンドドルは1.23ドル台後半に上昇。いまのところ、1.24ドル台に入ると売り圧力も強まるようだが、下値も底堅く、昨年6月以来の1.25ドル台を試す動きが続いている。
今週発表された英消費者物価指数(CPI)や英雇用統計といった最新のデータから、2月2日の英中銀金融政策委員会(MPC)では、インフレ対策に真剣に取り組む姿勢を示すよう圧力がかかることになりそうだとの指摘が出ている。
市場は現在、次回MPCでの利上げは確実視しているものの、利上げ幅は0.25%と0.50%ポイントで意見が分かれている。ただ、今週の英経済指標は、英中銀の大胆な行動が必要であることを示唆しているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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