ドル円は127円台まで下げ加速 125円が一気に視野に=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前日の米消費者物価指数(CPI)を受けて為替市場はドル売りが加速しているが、本日のドル円は127円台まで下落した。ロング勢の見切り売りが相次いでいる模様。21日線を下放れる展開が加速しており、テクニカル勢も売りで参戦しているようだ。
市場では次回FOMCでの利上げは0.25%ポイントとの見方を強めており、一部のFOMC委員もその可能性を否定していない。きょうもボスティック・アトランタ連銀総裁が「0.25%ポイント利上げに違和感はないだろう」と述べていた。
来週は日銀の政策再修正のリスクも意識される中、ドル円は下値リスクへの意識を高めている。ショート勢がこれまで野心的な目標としていた125円が一気に視野に入って来ている状況。なお、目先は2021年からの上昇波のフィボナッチ50%戻しが127円台前半に来ており、下値メドとして意識される。
ユーロドルはNY時間にかけて戻り売りに押され、一時1.07ドル台に一時値を落とす場面が見られたものの、1.08ドル台をしっかりと堅持している。欧州での予想外の暖冬とガス価格の急低下で、今年に入ってユーロへの見方が大きく変化している。また、金融政策の先行きに対する見方の違いもユーロをサポートしているようだ。
直近発表の米経済指標を受けて、市場はFRBの利上げペースへの期待を縮小させている。今回の利上げサイクルの終了も可視化しつつある状況。一方で、ECBの方は利上げ停止までにまだ時間がかかるという見方が広がっており、ユーロの魅力に拍車をかけている状況。ECBは2月、3月も0.50%の大幅利上げが見込まれている状況。
米国とユーロ圏の金利差縮小期待が高まっており、ユーロは対ドルでの上昇をさらに拡大させる可能性があるとの指摘が出ている。政策金利に敏感な米国債の2年物スワップレートが低水準を更新する中、ユーロ債とのスワップ金利差が引き続きユーロドルに有利に働き、このテーマは今後12カ月間、大きな役割を果たすはずだという。ユーロドルは引き続き1.09ドル、場合によっては1.0950ドルまで上昇する軌道にあるとしている。また、利益確定売りに押されたとしても、1.0750ドルが短期的に強いサポートとして機能するため、損失は限定されるはずだとも述べている。
ポンドドルはNY時間にかけて戻り売りに押され、1.21ドル台に値を落とした。この日発表の11月の英月次GDPが予想外のプラス成長だったことから、ポンドドルは1.22ドル台半ばまで上昇する場面が見られた。これは第4四半期(10-12月期)の英経済が予想ほど弱くないことを示唆している。
ただ、英経済に若干の勢いがあるようにも見えるものの、実際にはせいぜい停滞状態と言った方が良いとの指摘も出ている。12月が0.4%超の落ち込みでなければ、第4四半期はマイナス成長とはならず、テクニカル的なリセッション(景気後退)を免れたことになる。それでも、英経済は今年上半期にリセッション入りする可能性は十分あるとし、高金利・高インフレをほぼ無傷で乗り切れると結論付けるのは早計だという。
一方、上半期の落ち込みは他の先進国よりも大きいという見方は誇張されているように見えるとも指摘している。英経済の見通しは確かに悪いが、悲観的になり過ぎないように注意すべきだという。今年の景気後退は通年で1.5%のマイナス成長が見込まれるが、予想通りであれば、その規模は1990年代前半の不況に近い。英国は特に労働市場を中心に多くの問題を抱えているが、今年のGDPへの影響については、他の欧州諸国に比べて下位には位置するとしても、著しく逸脱した存在になるとは考えていないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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