ドル円は132円での推移が続く 明日の米CPIを見極めたい雰囲気=NY為替概況
きょうもNY為替市場でドルが弱含みで推移する中、ドル円は132円台での推移が続いた。ドルは軟調なものの、リスク選好の円安がドル円の下値をサポートしている。ただ、市場では明日の米消費者物価指数(CPI)の発表を見極めたい雰囲気が強まり、基本的には様子見姿勢が強い。一部からは、明日の米CPIの結果を確認し、米利上げペース鈍化を材料にドルは売られるとの見方も出ている。
米大手金融のエコノミストからは、12月の米CPIの総合指数は前月比でマイナスが見込まれるとの予想が出ている。市場のコンセンサス予想も前月比でマイナスが見込まれている状況。米CPIの3つの構成要素を要因に挙げている。自動車ディーラーの販促活動の前倒し反映し、新車価格が0.5%下落してるほか、中古車価格も1.6%の低下を予想。第2に原油価格下落で航空運賃の2%低下が見込まれるとしている。そして、第3に新規テナントの賃料下落が影響し、家賃インフレが緩やかなになると予想しているようだ。
米消費者物価指数(12月)12日22:30
予想 -0.1% 前回 0.1%(前月比)
予想 6.5% 前回 7.1%(前年比)
予想 0.3% 前回 0.2%(コア・前月比)
予想 5.7% 前回 6.0%(コア・前年比)
きょうもドルは弱含みで推移する中、ユーロドルは上値追いの流れを続け、1.0775ドル付近まで一時上昇した。21日線の上での推移を続け、市場からは明日の米CPIの反応次第では1.10ドルを目指す展開も期待されるとの声も出ている。
市場はFRB以上にECBの利上げ期待を高めている雰囲気もあるが、一部からは、市場はユーロ圏のインフレ固着への懸念を反映させ、ECBのターミナルレート(最終到達点)への期待を過度に織り込む可能性があるとの指摘が出ている。
ECBは5月の理事会までに中銀預金金利を3.25%まで引き上げ、そこで利上げサイクルを停止。その水準を24年上半期まで維持し、その後に徐々に緩和させると予想しているという。しかし、ECBが特に明確な枠組みを明らかにしていないこともあり、市場はインフレ固着のリスクを過度に考慮し、ECBのターミナルレートを自身の予想よりも高く見積る可能性があると指摘している。
ポンドドルはやや戻り売りに押されたものの、1.21ドル台での堅調な値動きを続けている。本日の21日線は1.2095ドル付近に来ているが、その水準は堅持している状況。
市場からは、「英中銀が期待ほど金利を引き上げず、ポンドは下落の可能性がある。しかし、ポンドの場合、そのパフォーマンスはリスクセンチメントに依存する傾向が強い」との声も聞かれる。ECBが追加の大幅利上げに強くコミットしていることから、英中銀の引き締め姿勢が弱まれば、対ユーロでポンドは下落リスクが生じるという。
しかし、他の主要通貨以上にリスクセンチメントがポンドにとって重要な要素となっており、金融政策格差の影響を相殺する可能性もあるとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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