ドル円は140円台半ばまで上昇も全体的に様子見気分が強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は140円台半ばまで上昇したものの、全体的に様子見気分が強かった。FOMC内でもタカ派の急先鋒として知られるブラード・セントルイス連銀総裁の発言で、市場はFRBの早期政策転換への期待を後退させ、ドルは戻り売りを一服させている。一方、米インフレにピークの兆候も見られる中で、従来のドル買い戻しを強める気配までは見られていない。そのような中で、次のきっかけ待ちの雰囲気も広がっているようだ。
ただ、ドル高期待も根強い。ドルは直近の下落を脱し、調整局面はそれほど長くは続かないとの指摘も聞かれる。市場は依然としてFOMC委員の発言に敏感で、大半の委員は、FRBが間もなく利上げ姿勢から離脱するとの市場の憶測を抑えようとしている。
市場は現在、2023年前半での5.00%のターミナルレート(最終着地点)を完全に織り込んでいる状況で、これまでのようなタカ派シナリオは後退しているものの、目先は緩やかなドル高が予想され、それは来週か再来週以降に再び始まる可能性があるという。
ユーロドルは1.03ドル台での上下動に終始。1.04ドル台前半に200日線が来ているが、その水準を再び試すか注目される。ただ、ユーロドルは20年来の安値から急回復しているが、上昇継続には懐疑的な見方も出ている。米インフレ指標の発表後にドルが大きく売られたことで、今月のユーロドルは5%超上昇し、7月以来の高値を更新した。ただ、ユーロが今後も単独でさらに上昇できるかは疑わしいという。
ポーランドへのミサイル着弾のニュースでユーロは一時的に動揺していたが、これはウクライナ紛争がエスカレートした場合にユーロは売られやすいことを証明しているという。また、欧州が今冬のエネルギー不足を回避できれば、ユーロは支持を得られる可能性もあるが、ECBが景気への影響を考慮し、利上げペースを落とす可能性もあることから、さらなる押し上げ効果は限定的となる可能性もある。予想以上に強い経済指標か、エネルギー問題に関するポジティブなニュースでもない限り、現在のユーロ上昇は恐らく収束して行く可能性が高いとしている。
そのため、ユーロドルが年末までに1.04ドル以上の水準を維持するのは難しいと考えており、いまの動きが更に強い上昇に繋がるという確信はあまりないと指摘している。
ポンドドルは1.19ドルを挟んでの上下動に終始。上げは一服しているものの、下押す気配まではなく、リバウンド相場は継続している状況。ただ、いまのところは節目の1.20ドルの突破を積極的に試す動きまでは見られていない。
前日は英政府が議会に秋季財政報告書を提出したが、歳出削減と増税が盛り込まれた緊縮財政策となっていた。ハント英財務相は、財政引き締めがインフレを抑制すると説明している。ポンドの反応は緩やかな下落に留まり、無難に乗り切った印象だが、市場からは依然としてポンドの下落リスクの1つとの指摘は根強い。
年末に向けてドルが回復し始める可能性もあり、ポンドドルは引き続き下押しリスクにさらされ、短期的には1.15ドル以下の水準をターゲットにする可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。