ドル円は調整が続くも上向きの流れは堅持=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は113.70円付近での推移が続いた。先週の後半あたりから調整の動きが見られているものの、113.50円付近はいまのところサポートされ、上向きの流れは堅持している。
今週は日銀決定会合が予定されているが、現状の全国消費者物価指数(CPI)からは、日銀が動く要素はない。むしろ、来週のFOMCの結果を受けてどう反応するか次第であろう。9月下旬からの上昇波のフィボナッチ38.2%戻しが112.60円付近に来ているが、その水準まではまだ距離がある。
ドル円にとっては米国債利回りや米株も重要な要素になっているが、米株については決算発表が本格化しているものの、いまのところネガティブな反応もなく、ドル円をサポートしている模様。来週のFOMCについては、資産購入ペース縮小の開始がアナウンスされるものとみられ、2022年半ばまでに資産購入は終了とのパウエルFRB議長の直近の見解を踏襲する内容になるものとみられる。
ユーロドルは戻り売りが優勢となっており、1.16ドルを割り込む場面もみられた。特に材料はないが、10月最終週を迎えてドル売りの動きも一服していることがユーロドルを押し下げている模様。先週は21日線の上で推移していたが、きょうは21日線付近まで値を落としている。テクニカル的には上値が依然重いことが示されている格好だ。
今週は28日にECB理事会が予定されており、その結果待ちの雰囲気も強い。市場からは、ECBはコミットメントへの信頼性を担保する必要があるとの声も聞かれる。短期金融市場では来年末の利上げを織り込む動きが見られているが、明らかにECBのコミットメントと逆行した動きとなっており、新たなフォワードガイダンスで信頼感を取り戻す必要があるという。ECBは今後数カ月、来年3月のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)後も含め、今後のユーロ圏の金融市場の急激な悪化を防ぐよう努めることが予想されるとしている。
ポンドドルは1.37ドル台半ばで上下動。来週の英中銀金融政策委員会(MPC)やFOMCを前にした調整も一段落してきているようだ。市場では英中銀の年内利上げ期待が強まっている。来週11月4日のMPCでの利上げ期待も一部では出ているようだが、いまのところその可能性は低いと見られている。むしろ、12月との見方が多い。
ただ、既に市場では利上げを織り込んでおり、ここから更にポンドが上昇するかは未知数との声も出ている。この先、ポンドが上昇するとすれば、市場の予想よりも早い利上げを示唆する英中銀委員のタカ派な発言などが想定されるが、その可能性は低いという。ポンドは対ユーロでは堅調な展開も想定されるが、対ドルについては、ドルの逃避買いやFRBと比較した英中銀の慎重姿勢により、来年末時点でのポンドドルは1.34ドルを想定しているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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