ドル円は108円台後半で膠着 市場全体に一服感も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って108円台後半で膠着した展開となった。本日は米国債利回りが低下していることもあり、売り圧力も出ているようだが、上値への期待は根強く、108円台半ばの水準に接近すると押し目買いも活発に入るようだ。
先週のFOMCも通過し、3月期末に向けたポジション調整も一段落してきているようで、市場全体に一服感が出ている。 目先のポイントとしては、下値は108.40/50円水準、上値は109円台前半の水準がメドとして意識される。
先週末にFRBが、パンデミック対応で導入していた金融機関向けの補完的レバレッジ比率(SLR)の条件緩和措置を今月一杯で終了すると発表した。このニュースを受けて米国債利回りも上昇し、ドル円も買いが強まっていた。市場からは改めてこのFRBの措置はドルを押し上げるはずだとの声も聞かれる。この決定は銀行が大量の米国債を売却しなければならず、その場合、米国債利回りはさらに押し上げられる可能性があるという。
一方で米国債利回りはそろそろ上昇も一巡して来たとの声も聞かれ、ドル円も次のアクション待ちといったところかもしれない。
ユーロドルは1.1930ドル付近。ロンドン時間には1.18ドル台に下落し、一時1.1870ドル付近まで値を落としていたが、NY時間に入って買い戻しが優勢となった。200日線が1.18ドル台半ばに来ているが、いまのところその水準は維持されている格好。
ただ、依然として上値は重い印象。欧州で再び封鎖措置を延長に向けた動きが出ており、ユーロの上値を圧迫している。ドイツ政府は4月18日までの封鎖措置の延長を決めたとの報道が流れている。感染率がこの1カ月でほぼ2倍になっており、メルケル首相と州の指導者たちが、今日の会議で合意したという。必要不可欠でない店舗の部分的な閉鎖やホテル、レストラン、ジム、文化施設などの閉鎖措置が延長されるという。ユーロの反応はいまのところ、限定的となっているが、他のフランス、イタリアでも再封鎖の見通しを示しており、欧州の景気回復への影響が心配される。
なお、ECBはこの日のレポートで、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の基づく債券購入を増加させていたことが明らかとなった。3月19日週の債券購入額は211億ユーロとなり、前週の140億ユーロから増加させている。
ポンドドルは1.3860ドル付近での推移。NY時間の朝方は1.38ドル台前半まで値を落とす場面がみられたものの、1.38ドル台前半に来ると買いも入るようで、水準はサポートされている。
底堅さは堅持しているものの、次第に上値は重くなっている印象も強い。今月に入って1.40ドル回復を何度か試しているものの、いずれも跳ね返されている。市場からは積極的な上値追いは一服しており、ここからは調整に入るのではとの指摘も聞かれる。特にユーロに対してはその動きが顕著になる可能性に言及している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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