ドル円は103円台に下落 米国債利回りが下げに転じる=NY為替概況
きょうのNY為替市場、終盤に入ってドル安が強まり、ドル円は103円台に下落した。米株式市場でダウ平均がプラスに転じてたほか、米国債利回りが序盤の上げを失い、下げに転じたことでドル円も戻り売りに押された格好。午後の米10年債入札が好調だったこともきっかけとなったようだ。
市場の一部からは、この4日間、ドルは買い戻しを強めたが、その過程でポジション調整の初期段階が完了した可能性があるとの指摘も出ている。ドルショートは昨年末に10年来の水準まで積み上がっていたが、それもだいぶ解消されつつあるという。過剰感はまだ残っている可能性はあるものの、圧力はだいぶ緩和され、ドル買い戻しの余地が狭まりつつあるとも指摘した。
ドル円は104円台半ばの水準を何度か試す動きが見られたものの、上値を拒まれている。市場のドル安期待は根強く、ドル円の上値では実需筋などの売りが旺盛に出るようだ。
ドル円は21日線を突破し、反転の兆候が出ているが、ドル買い戻しによるもので円安ではない。持続可能かどうかは議論の余地があるとの指摘も聞かれた。長期的なトレンドはなお下向きであることから、現段階では自律反発の域を出ないという。今後、ドル円の方向感に影響を与えるとすれば、感染拡大による短期的な先行き不安と、長期的なワクチンへの楽観主義との間の綱引きになるという。次の大きな動きは、恐らくその争いがどのように進展するかに依存するという。
ユーロドルも買い戻しが優勢となり、1.22ドル台を回復。ただ、一部からはイタリア政治が不安定になっていることがユーロにとってリスクとの指摘も出ている。EU復興基金からの融資や助成金の使い方について、イタリアのコンテ首相と連立パートナーで元首相のレンツィ氏が対立しており、連立政権が崩壊の危機にある。情勢によっては解散総選挙につながる可能性もあるという。現時点で総選挙は回避されると見ているが、市場はこの種のリスクで動く可能性があるという。それを機にドイツ債とイタリア債の利回り格差が拡大すれば、ユーロにとっては下振れリスクになると指摘している。
ポンドも買い戻しが強まり、対ドルでは1.36ドル台を回復し、対円では142円台をつける場面もみられた。ベイリー英中銀総裁のマイナス金利に慎重な発言がポンドの買い戻しを加速させた。同総裁は「マイナス金利は問題が多い」と述べていた。この発言で早ければ来月の英中銀金融政策委員会(MPC)で政策金利をゼロ金利に落とすとの期待が完全に後退したほか、短期金融市場では8月のゼロ金利期待が12月に後退している。年内のマイナス金利期待がなくなった格好。
しかし、現状の変異種の感染拡大や、厳格な都市封鎖が再導入される中で、英景気への先行き不安は強く、EU離脱に伴う英経済への影響も年後半には出てくるとの見方もあり、マイナス金利への期待は根強くあるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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