英、EUの貿易交渉を巡り上下動 ドル円は動意薄の状況に変化なし=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は朝方こそ売りが先行し、103.40円近辺まで値を落としていたものの、ロンドンフィキシングにかけて買い戻しが強まり、103.65円近辺まで一時上昇した。ただ、103円台半ばでの狭い範囲での値動きが続いており、動意薄の状況に変化はない。
きょうは英国とEUの貿易交渉を巡ってニュースが活発に流れており、双方は本日中にも合意しそうな情勢となってきた。大枠では合意している模様。それを受けてポンドやユーロに買い戻しが強まり、ドル売りとなったことから、朝方のドル円は値を落としたものとみられる。フィキシングにかけての買いについては、特段の材料は見当たらず、実需買いが活発に出た可能性もありそうだ。
米議会で可決された9000億ドル規模の米追加経済対策にトランプ大統領が苦言を呈し、個人への直接給付の増額を含む多くの変更を加えるよう要請している。議会が可決した米追加経済対策には、失業手当の増額、中小企業支援、ワクチン配布資金、そして、国民1人当たり600ドルの直接給付が含まれている。しかし、トランプ大統領は600ドルの直接給付に不満を示し、2000ドルに増やすよう求めている。ただ、大統領は拒否権行使までは言及しておらず、市場も冷静に受け止めているようだ。
英・EUの貿易交渉を巡るニュースに翻弄される中、ポンドの急上昇と伴にユーロも買い戻しが強まり、ユーロドルは一時1.22ドル台に上昇。しかし、1.22ドル台での戻り売り圧力が強まっているのか、水準を維持できていない。
先週は1.2270ドル近辺まで上昇し、2018年以来の高値水準を更新していた。しかし、その後は買いが続かずに伸び悩む展開となっている。市場では来年のドル安期待が根強いが、一部からは、来年第1四半期のユーロドルは現在の流れが続き、1.20ドルまで調整するとの見方も出ている。
ワクチンは接種が始まっているものの、足元の感染拡大は収束の気配を見せていない。英国では変異種が広がっている中で、短期的な世界経済の回復は鈍いとみられている。来年序盤には、景気低迷を示した弱い経済指標の発表が相次ぐことも想定され、リスク回避の雰囲気からユーロドルは弱い展開になることも想定されるという。しかし、米国とドイツ国債の実質金利差を考慮すれば、来年後半はドル安が強まり、ユーロドルは1.23ドル程度まで戻す展開も有り得るという。
ポンドは買いを強め、ポンドドルがストップを巻き込んで1.35ドル台に一時急上昇したほか、ポンド円も140円台を回復する場面がみられた。
市場は英・EU貿易交渉への進展期待を高めている。合意に向けた様々な報道が入り乱れており、英スカイニュースは英政府の関係筋の話として「合意が成立した」と伝えている一方、英BBCは「まだ決着していない」と伝えている。いずれにしろ、大きな進展があったようで、本日中にも合意のニュースが伝わりそうな雰囲気ではある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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