ドル円自体に動意なし ECB理事会を受けたユーロ買いも一時的=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って戻り売りに押され104円台前半に伸び悩んだ。ただ、104円割れを試す動きまではない。本日の21日線は104.25円付近に来ているが、その付近での推移。
ドル円自体に動意はなく、ECB理事会を受けたユーロドルの動きに左右される展開となっているようだ。ECB理事会を受けユーロは買いの反応を見せ、ドルが売られる格好となり、ドル円にもその動きが波及したものと思われる。
ただ、全体的にドル円の雰囲気に変化はない。来週のFOMCや、年末のクリスマスに向けたドルショートの巻き戻しが続いており、ドル円も買い戻しの流れを見せている。しかし、上値にも慎重で、下向きのトレンドは変化がないようだ。104円台半ばを超えると、戻り売り圧力が強まる一方で、104円ちょうど付近の買い圧力も強まっており、104円台を固める展開をみせている状況。
ユーロドルはNY時間に入って1.2160ドル近辺まで一時上昇したものの、その後は戻り売りに押され、1.21ドル台前半に伸び悩んだ。きょうはECB理事会が開催され、その結果を受けてユーロは買いの反応がみられていた。ユーロ円も一時126.75円付近まで上昇。
ECB理事会では予想通りに量的緩和(QE)拡大が打ち出されている。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を5000億ユーロ増額し、期間も9カ月間延長した。また、TLTRO(長期リファイナンスオペ)も追加されている。今回は予想がまちまちだったことから、何とも言えないところではあるが、概ねコンセンサスに近い内容と思われる。
ラガルドECB総裁は会見で、「PEPPの枠を全て使い切る必要はない」と言及。一部から、このような発言が出る可能性は指摘されていたが、その通りとなった格好。7-9月のGDPは予想以上に回復したものの、感染拡大で10-12月期は再び縮小する可能性が高いとの認識も示していた。
市場では、PEPPの増額は5000億ドル超、期間も1年延長と、もう少し規模が大きな緩和を見込む声も出ていただけに、コンセンサスに近い内容にユーロ買いで反応したのかもしれない。ただ、今週の市場はドル買い戻しの雰囲気が強まっていることから、ユーロドルの買いの反応は一時的となっている。
ポンドは軟調。引き続き英・EUの貿易交渉に焦点が集まっている。これまでネガティブなニュースが様々流れていたが、市場は合意できると楽観的だった。しかし、ここに来て破談のリスクも意識され始めているようだ。
きのうのフォンデアライエン欧州委員長とジョンソン英首相の夕食会でも、両者の隔たりは埋まらず、協議は13日まで再び延長されている。ジョンソン英首相から「合意なき離脱に備えよ」といった発言も出ており、ポンドは警戒感を強めていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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