ドル円は104円台前半まで一時下落 FOMC議事録はヒント示さず=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となっており104円台前半まで一時下落。今週のドル円は週初に突如買い戻しが強まり104円台を回復した。前日は株高・円安のフォローもあり104.75円近辺まで上昇したが、そこで上値を止められている。心理的節目の105円台回復を試す雰囲気までは無いようで、きょうは戻り売りが出ている状況。
今週の動きは明日からの感謝祭休暇を前にしたポジション調整との見方が多い。市場ではドル安観測が根強い中で、ドル買いのフォローがなく、株高・円安だけではドル円の上値には限界があると見ているのかもしれない。
午後に11月開催分のFOMC議事録が公表された。「現行の購入ペースを直ちに変更する必要はない」としたものの、「状況は変更を正当化する可能性」にも言及している。また、債券購入のガイダンス強化の必要性にも言及している。ただ、市場が注目していた12月FOMCのヒントについては示されなったとの印象だ。市場の一部からは12月は債券購入のガイダンスを示すのみで、具体的な変更は来年以降との見方も出ているようだ。為替市場の反応は限定的だった。
ユーロドルは1.19ドル付近の狭い範囲での値動きとなっている。明日からの米感謝祭休暇を前に模様眺めの雰囲気が強まっている模様。ただ、底堅さは堅持している。一部からは、明日からの米感謝祭休暇で市場参加者が少なくなることが予想される中、休暇中にユーロドルはボラティリティが高まる可能性も警戒されるとの声も聞かれる。
来年はワクチンへの期待もあり、景気は回復するとの予想も少なくない。足元で感染拡大が続いていることから、その影響で来年序盤は景気が圧迫される可能性もあるが、春以降は景気回復が鮮明になることが期待されるという。その場合、リスク選好の雰囲気が高まり、逃避通貨に位置づけられているドルは売られ、ユーロドルは上昇が期待されているようだ。ECBの追加緩和が12月に確実視されているものの、来年の景気への期待からユーロドルは年内に1.20ドルを回復するとの声も聞かれる。そのほか、ECB当局者の話として、ECBは域内の銀行に課している配当禁止措置を資本状況に応じて解除する可能性があると伝わっている。もし、そうなれば、ユーロにとっては僅かではあるがプラスに働くとの指摘も出ている。
ポンドドルは1.33ドルちょうど付近まで下落していたが、NY時間に入って買戻しが優勢となり、1.33ドル台後半に上昇している。きょうはスナク英財務相が財政見通しを公表しており、2020-21会計年度の財政赤字は3940億ポンド、国債発行予定額は4855億ポンドに増加する見通しを公表した。予想上回る。また、今年の英経済については11.3%の300年ぶりの大幅な縮小を見込んでいることを明らかにした。ポンドに関しては、足元はEUとの貿易交渉の合意が期待される中でポンドも買いが強まっているものの、今年末でEU離脱となれば、来年の英経済は感染拡大以上の悪影響も心配されているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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