ドル円は買戻し続き、一時106.70円付近まで上昇=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円はやや伸び悩んでいるものの、106.55円近辺での推移となっている。きょうのNY為替市場でドル円はNY時間に入って上げ幅を拡大しており、一時106.70円付近まで上昇した。本日は一時105円台に下落していたもののロンドン時間から買い戻しが強まった。中国が直近の米国による関税引き上げに対して直ちに報復しないことを示唆したことから米中対立への警戒感が和らいでいる。また、トランプ大統領が本日、米中が貿易問題について協議すると述べたことも期待感を高めているようだ。
株式市場がポジティブな反応を見せており、米株式市場でもダウ平均が一時370ドル超上昇したことからドル円も買い戻しを加速させた模様。米国債利回りの上昇もドル円をサポートした。月末接近で今週末の米国市場はレーバーデーで3連休となることもあり、短期筋のショート勢によるショートカバーが活発に出ていたようだ。本日の21日線は106.20円付近に来ているが、その水準を上回っており、明日以降の動きが注目される。
ただ、依然としてドル円は下値模索が続くとの見方は根強い。今週末から約1440億ドルの中国製品への15%の制裁関税が始まるほか、来週は英議会が再開し、ジョンソン首相への不信任投票も警戒される中、リスクイベントは少なくない。105円は目先のサポートとして機能しているものの、あくまで短期的でリスク回避の円買いは根強いとの指摘も聞かれる。
一方、ユーロドルは軟調な展開が続いており1.1045ドル近辺まで下落。きょうは米株高や米国債利回りの上昇からドル買いが優勢となっておりユーロドルは上値が重い。月末接近ということもあり、FRBの利下げを期待したドルショートのポジション調整も出ていたようだ。
NY時間に入ってECB理事のクノット・オランダ中銀総裁が「現時点で量的緩和(QE)を再開する必要性はない」と述べたことでユーロ買いが強まり一時1.1095ドル付近まで上昇する場面も見られた。しかし、1.11ドル付近での上値抵抗が強く急速に戻り売りに押され、ユーロドルは上げを維持できずに失速している。
そのほかきょうはラガルド次期ECB総裁による欧州議会からの質問に対する書面で回答が伝わっており、「ECBの政策金利はまだ下限に達していない」と言及していた。ユーロドルは1.10ドルを試す動きまではまだ見られていないものの下値模索は続いている。
ポンドドルは下値模索が続き1.21ドル台に値を落とした。前日はジョンソン英首相が9月12日から10月14日の女王演説まで議会を休会とすることをエリザベス女王に求め、女王側もそれを了承したことから、合意なき離脱への警戒感が強まり、ポンドドルも1.21ドル台半ばまで一気に下落した。きょうにかけて下げが一服しているものの戻りは鈍い。
来週から英議会が再開されジョンソン首相の不信任決議案が提出される可能性もある。しかし、不信任決議案には消極的な議員も多く提出されたとしても可決される可能性は低いとの見方も多い。野党からは合意なき離脱を阻止する法案を成立させ、10月31日の離脱期限を延長する方向に持って行くのが最善の選択肢との声も少なくない。ただし、9月12日までには成立させる必要があり期間は短い。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。