強い米経済指標で景気後退への懸念一服もドル円の上値は重い=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は下げが一服したものの上値は重い。米小売売上高などこの日の米経済指標が良好だったことや、中国が貿易問題について交渉で解決するスタンスを強調したことから、序盤のドル円は買い戻しが優勢となっていた。
ただ、午後になって再びドル売りが強まり、ドル円は105.80円付近まで値を落とす場面が見られた。米10年債が2016年8月以来の1.5%割れとなったことでドル円も戻り売りが強まった格好。ただ、直ぐに106円ちょうど付近に戻している。
前日は米国債市場で2-10年債が一時逆イールドを示現したことから、景気後退への不安感が市場を席巻した。米株式市場でもダウ平均が800ドル安まで急落するなどリスク回避の雰囲気が強まっていた。しかし、ドル円は105円台に入るとショートカバーも出て底堅さも見られ始めている。
米株に下げ一服感も出ており、2-10年債の利回り格差も縮小が一服したことから、景気後退への懸念は緩んでいる。ただ、ドル円もリスク回避の円高は一服しているものの、なお上値が重い状況に変わりはなく、上昇すると戻り待ちの新規売りが断続的に出るようだ。
きょうはユーロが軟調。ユーロドルは1.10ドル台に下落する場面も見られた。米経済指標が概ね強い内容だったことや、ECB理事のレーン・アイスランド中銀総裁の発言に反応していた模様。レーン総裁はマスコミのインタビューで「9月の理事会では相当程度のインパクトのある刺激策が必要」との認識を示したほか、「刺激策は過小よりも過大のほうがより良い」とも語っていた。9月のECB理事会での期待以上の追加緩和を示唆した発言ともいえ、市場は敏感に反応していたようだ。
ポンドは買い戻しが優勢となった。この日の英小売売上高が予想を上回ったことをきかっけに買い戻しが出ている。今週発表になっている英経済指標は堅調な内容が相次いでいることもあり、ショートカバーを誘発したようだ。特に対ユーロでの上昇が他にも波及している模様。
ただ、合意なき離脱への懸念は引き続き根強い。独紙によると、独財務省はジョンソン英首相がバックストップ条項を削除した協定への変更を主張していることに鑑み、EUは合意なき離脱シナリオを真剣に捉えなければならないと指摘。24日からフランスでG7首脳会議が開かれるが、そこでジョンソン首相が、EUとの交渉打開あるいは決裂を表明する、ある種の決定的な発表を行うと予想しているという。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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