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とれんど捕物帳 人民安がどんどん進む状況にはないか? ただ、ドル円はまだ上値が重そう

為替 

 今週のドル円は一時105.25円近辺まで下落するなど上値の重い展開が続いた。ただ、大きな心理的節目の105円を割り込む動きまではまだ見られていない。昨年も105円割れの局面があったが、跳ね返されており、少し攻めにくい面もあるのかもしれない。年初のフラッシュ・クラッシュ時も瞬間的に104円台に入ったものの直ぐに買い戻されていた。ショート勢からすれば、心理的に嫌な水準ではあろう。ただ一方で買戻しも入らず106円台に入ると蓋を被せてくるようだ。

 先週のトランプ大統領による対中追加関税発表以来、市場は動揺しているが、今週はそれに拍車がかかった格好となった。中国人民銀行が人民元の基準レートを引き下げたことをきっかけに人民元が急落し、ドル・人民元は重要ポイントと見られていた1ドル=7元を上回った。中国人民銀行は市場が勝手に反応したとして元安誘導を否定しているが、市場はそうは思っていない。更に今度は、米政府が中国を為替操作国に認定して対抗している。米中対立激化への懸念で株式市場が乱高下する中で、市場では昨年終盤に見られた景気後退への懸念が再燃し始めている状況。

 しかし、為替操作国への認定については、米国の対抗意識を強調した面のほうが強いであろう。実際、操作国に認定された場合、米政府は該当国に制裁関税を課すことができるという規定だが、中国は既に制裁関税を課されており、従来と大きな変更はない。しかし、税率が更に上がるリスクは高まる。トランプ大統領が2016年の選挙戦で「中国を為替操作国に指定して45%の関税を課す」との公約を掲げていた。そこまで上げるとなると、米中貿易は大打撃で米経済の影響も本格化するので早期実施の可能性は未知数だ。

 そして人民安だが、どんどん進む状況にはないと見ている。もし、今回の人民安が中国政府の誘導であれば、自らの首を絞めることになり限界があろう。

 人民安は中国からのキャピタル・フライトを助長するリスクがある。中国経済を最も信用していないのは当の中国人で、それも幹部クラスだ。

 更に対外債務の問題が大きいであろう。中国国家外為管理局(外管局)が発表している対外債務は今年第1四半期時点で1.97兆ドル(約208兆円)だが、そのうちの63%にあたる1.25兆ドル(約133兆円)が1年以内に償還をむかえる短期債務だ。人民安が加速するようであれば、その借り換えがスムーズに進まないリスクが高まる。もっとも、中国政府の発表は1.97兆ドルだが、実際の債務残高はもっと多く、最大3.5兆ドル(約371兆円)との推計も出ている。直近の外貨準備は3.1兆ドル(約328兆円)だが、それを上回る水準だ。

 もし、対外債務の不履行をきっかけに信用バランスを崩せば、中国共産党の強権をもってしても混乱は沈められず、そして、誰も止められない恐怖が潜んでいる。特にドル建ての対外債務が最も多いのは不動産セクターだ。腫れ物に触るようなセクターだが、不動産は中国の家計資産のよりどころで、国内経済の大半のよりどころでもある。急激な値崩れだけは是が非でも避けたいところであろう。

 よって、中国政府が米国に対抗して人民安を積極的に推し進めることはないであろう。ただし、市場が糸の切れた凧のようになってしまうリスクはあるが。

 さて来週だが、引き続き米中はリスクとして意識しておく必要があろう。何が出るかわからない。トランプ大統領は常にそこにあるリスクだ。米経済指標も重要な発表が予定されている。消費者物価指数(CPI)や小売売上高、鉱工業生産などが予定されているが、景気後退懸念が再び台頭している中で、9月FOMCでの0.5%の大幅利下げ予想も高まっている。弱い内容には敏感に反応しやすい地合いと言えよう。

 夏休みシーズンで市場参加者も少なくなることが予想されるが、ドル円は上値の重い展開が続く可能性もありそうだ。状況によっては心理的節目の105円を試す動きも警戒される。ただ、105円を下回るとショートカバーや押し目買いが旺盛に出そうだ。レンジとしては104.80~106.50円を想定。スタンスは「弱気」を維持したい。

()は前週
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◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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