今週のまとめ7月22日から7月26日の週
22日からの週は、ドル買いが優勢だった。ドル円は108円前後での揉み合いから108円台後半へと上放れた。ユーロドルは1.12台から1.11台へ、豪ドル/ドルは0.70台から0.69台へと水準を下げた。比較的強めの米経済指標が発表されるなかで、次第に7月FOMCでの0.5%利下げ観測が後退、0.25%利下げに市場の見方が固まってきている。また、ECB理事会では次回9月の追加緩和が示唆され、豪中銀総裁からも追加緩和の方向性が示された。円相場にとっては来週の日銀決定会合を控えた思惑もあるようだ。各国の景気見通し鈍化や緩和方向への動きが、相対的にドル買い圧力となる面もあった。そのなかで、ポンドは比較的堅調。ジョンソン英新首相が誕生しており、これまでのポンド売りに巻き戻しが入った。ただ、EUとの再交渉は難航が予想され、引き続き合意なき離脱への警戒感は高い。第2四半期の米GDP速報値は、前期比年率+2.1%と事前予想を上回ったが、前期からは伸びが鈍化した。個人消費や政府支出が成長を支える一方で、住宅投資、設備投資、輸出入が成長のブレーキとなった。市場の反応は定まりにくい結果だった。
(22日)
東京市場では、ドル円が底堅く推移。一時108.07レベルまで水準を上げた。。月末の米FOMCでの大幅な利下げ観測が後退している。このところ堅調な米経済指標が目につくことが背景。ただ、ドル円の上値は伸びていない。景気や物価の下振れリスクを考慮して、来月以降も米FRBが緩和的な金融政策方針を維持するとの見方も根強い。中国商務省が、EUや日本、韓国などの一部ステンレス製品に反ダンピング関税を課すと発表したこともドル円の重し。ユーロ円は121円台前半、ポンド円は135円台前半、豪ドル円は76円台前半まで水準を切り上げた。ユーロドルは1.12台前半、ポンドドルは1.25ちょうど前後でで小動き。
ロンドン市場は、総じて小動き。ドル円は108円ちょうど付近から107.80台へと小反落。米債利回りが小幅に低下しており、調整の動き。一方、欧州株や米株先物は小高く推移し、原油相場は堅調のリスク動向は落ち着いている。ユーロドルは1.12台前半、ユーロ円は121円挟みの水準で小動き。ポンドは軟調。ジョンソン前英外相の首相就任が確実視されるなかで、相次ぐ英閣僚辞任報道が重石となっている。また、英NIESRは合意なき離脱の場合、合意離脱やソフト離脱と比較して長期的にGDPは5%低下すると分析した。一方、豪ドルやカナダドルは買いが先行している。NY原油先物が週明けの時間外取引で一時57ドル近辺へと上昇したことに反応した。目立った経済指標発表や金融当局者発言はみられず材料難の週明け相場となっている。
NY市場は、小動き。全般に様子見ムードが広がっている。ドル円は107円台後半での振幅。ユーロドルは1.12台前半での振幅。今月のFOMCでの米利下げ期待はほぼ確実視されているものの、先週までの米地区連銀総裁などFOMCメンバーの発言から、市場の一部が期待していた0.5%の大幅利下げはなく、0.25%に留まるとの見方で市場のコンセンサスは固まったようだ。ワシントンを訪問中の黒田日銀総裁がIMFのイベントに出席しており、「しっかりと強力な金融緩和を続けていく」とこれまでの発言を繰り返していたが特に反応は無かった。きょうは主要な指標の発表も無く手掛かり材料に乏しい。ポンドは軟調な動きが続いており、対ドルのみならず、対円、ユーロでも下落。英保守党・党首選はきょうで投票が締め切られ、明日結果が発表される。ジョンソン氏が有力と見られており、次期首相に就任しそうだ。ただ、市場はジョンソン氏の首相就任により、合意無き離脱への警戒感を強めている。
(23日)
東京市場は、ドル買いが優勢。ドル円は108.19レベルまで上昇。前日の東京市場では108円台乗せを維持できなかったが、この日は株高とともに下値がしっかりとした展開となっている。ユーロドルなど各主要通貨でもドル買いの動きがみられた。ユーロドルは直近のユーロ安水準を割り込み、1.1189レベルまで下落。今月の安値を更新した。ポンドドルは1.2480台から1.2451レベルまで下押し。先週までみられた米FOMCでの0.5%利下げ見通しが後退しており、ドルの買戻しにつながっているもよう。
ロンドン市場では、ドル高水準での推移。ドル円は108.20近辺までと、わずかながら高値を更新。ただ、そこからの買いは一服。高値圏でのもみ合いとなった。ポンド相場は、序盤に売りが先行。サンダース英中銀金融政策会合(MPC)委員が「合意なき離脱の場合ポンドはさらに下落へ」「ブレグジットは利上げを止める」などと発言した。しかし、英保守党党首選でのジョンソン氏勝利の発表前からポンドには買戻しが入った。発表後もポンド買いが継続した。ポジション調整の動きが優勢だった。ジョンソン前外相は10月31日の期限までにEUと合意できない場合でも合意なき離脱を強行する意向を示しており、そのこと自体はポンド売り材料も、事前調査動向などから勝利が確実視されていたこともあり、影響は限定的なものにとどまった。
NY市場では、ドル買いがやや優勢。ドル円は108円台前半で底堅く推移。午後には「米交渉担当者が29日に中国を訪問し、対面での協議に臨む」と伝わったことで、米中協議への期待が高まった。ライトハイザーUSTR代表と数名の担当者が上海を訪問し、水曜日まで滞在する予定。米株は上昇。ユーロドルは一本調子で下落し、1.11台半ばまで下落した。これまでサポートされてきた1.12台を割り込んだ。今週のECB理事会をめぐって上値が重くなっている。ポンドドルは1.24台半ばでの推移。きょうは次期首相を決める与党保守党の党首選の結果が公表され、下馬評どおりにジョンソン氏が勝利した。まもなく次期首相に就任する方向。大方の予想通りでもあり、市場は大きな反応は示していないが今後、10月末のEU離脱期限に向かって波乱含みの展開が予想されている。まもなく次期首相に就任する方向。大方の予想通りでもあり、市場は大きな反応は示していないが今後、10月末のEU離脱期限に向かって波乱含みの展開が予想されている。
(24日)
東京市場は、ユーロ売りが優勢だった。明日のECB理事会では金融政策の現状維持が濃厚も、フォワードガイダンスを緩和方向に変更するとの期待が広がっており、ユーロ売りにつながっている。内容次第では9月利下げの期待が強まる可能性も指摘されている。ユーロドル、ユーロ円ともに前日安値を割り込んだ。ユーロドルは5月末以来、ユーロ円は1月3日以来の安値水準。ドル円は108.10台を中心に小動き。来週のFOMCを前に大幅利下げ期待の後退が見られていることからのドル買いや、米中通商協議再開を好感し、底堅い。の貿易統計が若干強めだったNZドルは0.67台を維持できず0.6690台での推移。値幅が小さく様子見ムード。ポンドドルは1.2440近辺で小動き。
ロンドン市場では、ポンドが買われた。ジョンソン新首相の就任にあたり、これまでの売りに対する調整が出た格好。2016年の国民投票でのブレグジットへの運動「ボート・リーブ」を率いたドミニク・カミングスを新政権のシニアアドバイザーとして用いるとの報道が、ブレグジットで英国内をまとめる動きにつながると期待された面もあったもよう。ポンドドルは朝方の1.2420台から1.2520台まで大きく買い上げられた。一方、ユーロは売りが先行。独仏の製造業PMIが弱い内容だったことに反応、ユーロドルは5月末、ユーロ円は1月3日以来の安値水準となった。ECB理事会で早期緩和に向けたフォワードガイダンス変更などへの思惑が広がった。ドル円は一時108円割れも、その後は108.05前後での揉み合いに落ち着いた。
NY市場では、小動き。ドル円は108円を挟んだ取引。6月米新築住宅販売件数が予想を下回り、107円台に一時下落。しかし、米FOMCでの大幅利下げ期待が後退していることや、あすのECB理事会を控えた様子見ムードで動きにくい展開となっている。米中貿易協議への期待がドル円の下支えとなった面もあった。ユーロドルは1.11台半ばから終盤になって1.1130台へとやや値を落とした。この日のPMIの弱さからECBの追加緩和期待が更に強化されている。ポンドドルは1.25近辺での推移。対ユーロを中心に買い戻しが優勢。きょうは保守党党首選に勝利したジョンソン氏が新首相に就任。首相はEU離脱に関して「10月31日に離脱する。“たられば”はない」と述べていた。合意なき離脱への警戒感は根強く、今日のポンド買いは調整の範疇とみられている。
(25日)
東京市場は、やや円高の動き。ドル円は108.20台から午後には108.08レベルまで軟化した。目立った材料はなく108円台での上値の重さを意識する展開。午前中に比べて株の上げ幅が縮まるなど、リスク選好の勢いがやや鈍ったことで調整が入りやすくなった面もあった。ユーロ円が120.50台から120.30台へと小安い。一部にはきょうのECB理事会で利下げが発表されるとの観測があり、ユーロ売りにつながった面も指摘された。豪ドルも小安い。ロウ豪中銀総裁が講演で、必要であれば追加緩和、との発言があった。豪3年債、10年債などの利回りが史上最低水準を更新したことなどが重石となっていた。
ロンドン市場はは、ユーロ相場が振幅した。ECB理事会では大方の予想通り主要な政策金利が据え置かれた。ただ、市場の一部には利下げ観測もあったことから、当初はユーロ買いの反応がみられた。しかし、ECB声明で金利階層化や新たなQEについての検討を指示としたことで一気に売りに転じた。ユーロドルは1.11台後半から1.11台前半へ、ユーロ円は120円台後半から120ちょうど付近で上下動。売り優勢でドラギ総裁会見待ちとなっている。それに先立ってトルコ中銀は政策金利は従来の24%から一気に19.75%に引き下げた。リラ売りが強まったあと、下げを消す動きがみられ激しく振幅した。ポンドは対ユーロでの買いが優勢。ドル円は108円台前半で静観。
NY市場では、ドル円やユーロが買われた。ユーロドルは1.1190近辺まで高値を伸ばした。この日のECB理事会では政策は据え置きとなった。ただ声明では、利下げや追加緩和再開の姿勢を強く打ち出している。注目のフォワードガイダンスは「少なくとも2020年上期まで、現水準か“それ以下”の金利を必要な限り継続する」と修正していた。ユーロドルは1.11ちょうど近辺まで下落して2年ぶり安値水準となった。しかし、その後のドラギ総裁会見を受けて反騰した。総裁は緩和姿勢を強調したものの、景気後退の可能性は否定しており、十分緩和的ではなかったと見られてたようだ。イベント後のポジション調整を誘発した面も。ドル円は108.75近辺まで上昇。独債券利回りの上昇とともに米債利回りが上昇、米耐久財受注の強い結果も支援材料となった。ポンドは売りが優勢。ポンドドルは1.24台半ばに下落した。ジョンソン英新首相が、バックストップ条項の削除に言及する一方で、バルニエEU首席報道官は受け入れられないと反発した。ユーロポンドは反転して0.89台後半に上昇した。
(26日)
東京市場は、小動き。ドル円は108円台後半と、前日からの高値圏でのもみ合いに終始した。今日発表される4-6月期の米GDP速報値が来週の米FOMCにおける利下げ観測を変化させる余地があることから、売買が見送られている。ECB理事会後の余波は限定的だが、ポンドやオセアニア通貨に対してユーロ買いがやや優勢だった。ユーロドルは1.11台半ばで推移し、ニューヨーククローズ後の動意は限定的。ユーロ円は121円台前半で小動き。ユーロ買い・オセアニア通貨売りが圧迫要因となり、豪ドル/ドルは0.69第半ば、豪ドル円は75円台半ばで上値重く推移した。
ロンドン市場は、様子見ムード。NY序盤に発表される第2四半期の米GDP速報値の結果を見極めたいとして小動き。ややドル買いが先行し、ポンドドルは1.2423レベル、ユーロドルは1.1132レベル、豪ドル/ドルは0.6927レベルに本日安値を更新した。ただ、値幅は限定的で、徐々にドル買いの動きも一服している。ドル円は108.60-70レベルと東京市場からの揉み合い水準を離れず静観。英欧などの主要経済統計の発表は無かった。米債利回りや欧州株は方向感に欠ける動き。米株先物は小幅の反発。
NY市場はドル買いが優勢となった。朝方発表になった第2四半期の米GDPは予想を上回り、2%台の成長を堅持している。貿易問題の影響で民間設備投資が減少。第1四半期の3%成長に寄与した在庫投資に反動が出たほか、純輸出も減少した。ただ、第1四半期に落ち込んでいた個人消費は4.3%増と力強い回復を示している。全体的には前回よりも伸びは鈍化したものの、個人消費が力強さを維持しており、見た目よりもポジティブな印象。GDP発表後にドル円は108.80近辺まで上昇したものの、109円を試す動きまでは出ていない。
執筆者 : MINKABU PRESS
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