【これからの見通し】新たなショック見られず、淡々と円キャリー取引が続く ドル円160円うかがう
【これからの見通し】新たなショック見られず、淡々と円キャリー取引が続く ドル円160円うかがう
今日の東京市場で、ドル円は159円台後半で小高く推移している。レンジは20銭にも満たないものの、着実に水準を上げている。目下の変動要因は中東情勢の行方となっている。しかし、米国とイランは一時停戦の状況を維持しつつも、双方の基本的な主張は平行線となっている。そのなかで、小競り合いはあるものの、大規模な攻撃は手控えられている状況だ。
市場はテールリスクとして、合意交渉の破棄による大規模戦闘の再開や、一気に合意に向けた動きが進展する、などのシナリオを常に意識している。しかし、全般的には株式市場はAI投資熱を中心に活況を呈している。NY原油先物も再び100ドル超えといったパニック商状は抑制されている。むしろ90ドル割れとなる場面も散見され、上値は重くなっている。上記のテールリスクへの対応には目をつぶっている状況といえよう。
そのなかで、ドル円相場は約1カ月前(4/30)の実弾介入による160.72の高値から155円台までの急落以降、着実に円安方向に戻す流れとなっている。上述のように世界的な株高や原油高一服のなかで、ドル円にはいわゆる「円キャリー取引」の圧力が働いている。絶対的な日米金利差を背景に、ドルロング・円ショートをキープする取引だ。
定石では日米の短期金利差が4%超かつ低ボラティリティーであることが円キャリー取引に良い環境と言われている。短期金利差は双方の政策金利誘導目標を比較すると、日本の0.75%に対して米国は3.50-3.75%となっている。約3%とやや条件には足りないが、短期ボラティリティーを示す1週間物の水準は4-5%台に低下・継続しており、まずまずの環境となっている。
ただ、4/30の実弾介入時の高値160円台後半に接近すれば、再び介入実施の確度が高まりそうだ。その点も踏まえて、市場は金利差を享受しつつ慎重に円売り・ドル買いを進めていると理解されよう。足元では、淡々としたドル円上昇の流れが続きそうだ。
この後の海外市場で発表される経済指標は、フランス財政収支(4月)、ユーロ圏消費者物価指数(HICP・概算値速報)(5月)、英消費者信用残高(4月)、英マネーサプライM4(4月)、香港小売売上高(4月)、南アBER企業信頼感指数(2026年 第2四半期)、米JOLTS求人件数(4月)などが予定されている。ユーロ圏HICP速報の予想は前年比+3.2%と前回の+3.0%から小幅に伸びが加速する見込み。6月ECB利上げ観測を後押しする結果となりそうだ。米JOLTS求人件数は前回の686.6万人とほぼ同水準もしくは微増の予想となっている。予想からの乖離度合いでドル相場が反応を見せることが想定される。
発言イベント関連では、レーン・フィンランド中銀総裁、ハマック・クリーブランド連銀総裁などの講演やブイチッチECB副総裁、ベイリー英中銀総裁、スレイペン・オランダ中銀総裁、グリーン英中銀委員などの経済会議出席が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。