為替相場まとめ5月25日から5月28日の週
25日からの週は、米国とイランを巡る地政学リスクに視線が集まった。原油と米金利の振れに連動してドル円が神経質に上下した。週初はトランプ大統領の和平協議進展発言を受けて緊張緩和への期待が高まり、ドル円は158円台後半まで下落した。しかし週半ば以降、米軍やイスラエルによるイラン関連施設への攻撃、さらにイラン側の報復報道が相次ぎ、市場心理は一転して警戒感を強めた。原油高と米金利の底堅さが重なり、ドル買いが優勢となる展開が続いた。28日には軍事衝突報道を受けてドル買いが加速し、159.65円まで急伸して160円の大台に迫ったが、政府・日銀による為替介入への強い警戒が上値を抑えた。一方で日米金利差を背景とした円売り意欲は根強く、下値も限定的となり、相場は159円前後で膠着した。木曜日には米・イランが60日間の停戦延長と核開発交渉入りで合意したと報じられ、過度なリスクオフ姿勢は後退した。円は一時的に買われる場面もあったものの、介入警戒と金利差の綱引きの中で、総じて円安基調が維持される一週間だった。
(25日)
東京市場は、ドル売りが先行。週末のトランプ米大統領による米国とイランの和平協議がほぼまとまったとの発言を受け、週明けの為替市場は協議進展への期待感から有事のドル買いが大きく巻き戻され、ドル安および原油安の展開で取引が始まった。ドル円相場は先週末終値の159.10円台から158.74円まで一時下落したものの、その後は下値での押し目買いも入り、158.90円台を中心としたもみ合いの値動きとなっている。ユーロドルはドル全面安の流れを引き継ぎ1.1649ドルまで上昇した後、高値圏での推移に終始した。クロス円もユーロ円が185円台、ポンド円が214.30円に迫るなど概ね底堅く推移している。ただし、この後は英国と米国の主要市場が祝日で休場となるため、全体的に極めて様子見ムードが広がる静かな地合いとなった。
ロンドン市場は、小動き。英国のスプリング・バンク・ホリデーおよび米国のメモリアルデーに伴う主要市場の休場で、全体的に様子見ムードが支配的となり、極めて小動きの展開となった。市場の関心は中東情勢に集中しており、トランプ米大統領の発言に錯綜は見られるものの、原油先物の下落や株式市場の堅調さから緊張緩和への期待が勝っている。ドル円は159円を挟んだもみ合いとなり、中規模オプションが上値を抑えた。ユーロドルは1.1600ドルと1.1635ドルの大規模オプションがマグネットとして機能し、1.16台前半の狭いレンジに収れんしている。リスクオン環境下でのユーロ圏国債利回り格差縮小もユーロを下支えした。ポンドドルは1.34台後半でじり高、クロス円も底堅く推移し、特段の波乱もなく閑散相場を終えている。
NY市場は、米国の祝日であるメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)のため休場。
(26日)
東京市場は、終盤にかけて円安に傾いた。午前中のドル円は158.90円台を中心とした非常に狭いレンジでの推移が続いた。米中央軍がイラン南部を攻撃したとの報道を受けて米国とイランの和平協議進展に対する期待がやや後退し、中東情勢への警戒感から一時的にドル買いが優勢となる場面もあったが、値幅は極めて限定的だった。しかし、午後に入りロンドン勢が市場に参加し始める時間帯になると、ドル買い・円売りの流れがもう一段強まり、ドル円は159.10円近辺まで上昇。一方、ユーロドルは中東情勢をにらんで1.1627ドルを付ける程度の落ち着いた動き。クロス円はイラン情勢への警戒から一時売りが出たものの、ロンドン勢の参入に伴う円売りの進行によってユーロ円が185.10円前後、ポンド円が214.40円台へと反発を見せている。
ロンドン市場では、原油相場をにらんでドルが大きく振幅した。米国とイスラエルのイラン艦船攻撃やイラン側の強硬姿勢で中東情勢が再緊迫化し、原油先物が93ドル台へ反発したことで序盤は有事のドル買いが先行、ドル円は159.24付近まで上昇した。しかし原油が再び下落に転じるとドル買いも一服し、米債利回りも低下して小幅調整された。一方、ユーロはシュナーベル理事らECB当局者が市場の6月利上げ観測を是認する発言を行ったことで買いが優勢となり、対ポンドなどでも堅調に推移している。円相場は東京時間の円高傾向から一転して円安方向へ戻し、ユーロ円は185円台前半で高止まりした。緊迫感を意識しつつも欧米株価はまちまちの動きを見せており、市場全体としては全面的なリスクオフ状態にまでは至っていないのが現在の状況である。
NY市場では、ややドル買いが優勢だった。ドル円は下値での根強い押し目買い意欲に支えられて159円台前半へ再浮上した。米国のイラン攻撃に対し市場は冷静で、和平交渉を妨げないとの期待を維持しており原油や米債利回りは低下した。しかし、ドル円は為替介入への警戒感と日米金利差などの下支え要因が交錯し、ボラティリティが数年ぶりの低水準となるなど方向感を欠いている。ユーロドルは200日線を下回り1.16ドル台前半へ下落し、ECB利上げ期待後退の懸念から弱気見通が根強く残る。また、ポンドは先週の弱い英経済指標を受けて年内の英中銀利上げ期待が著しく後退し、利上げ期待が高まる米欧に対して劣勢となり1.34ドル台半ばへ下落するなど、主要通貨に対するポンドの売り圧力がことさら目立つ展開となっている。
(27日)
東京市場では、円売りが優勢。午前中のドル円は前日の海外市場から続く下落基調を引き継ぎ、159.18円まで値を下げるなど落ち着いたもみ合いの動きが続いた。しかし、午後に入ると一転して円売り圧力が一気に強まる展開となり、ドル円は昨日海外市場で付けた高値に並ぶ159.38円まで急上昇した。この動きに連動してクロス円でも同様に円売りが進み、ユーロ円は185.30円前後から185.50円へ、ポンド円も214.20円前後から214.36円へとそれぞれ水準を切り上げた。欧州通貨は上下ともに動きにくく、ユーロドルは1.16台前半、ポンドドルは1.3450を挟んだ推移に終始した。一方、NZ中銀は政策金利を据え置いたが、見通しの引き上げや僅差での決定から今後の利上げ期待が強まり、市場全体ではNZドル買いが優勢となった。
ロンドン市場は、各通貨まちまちの動き。中東情勢の改善期待を背景に原油安と米金利低下というリスク警戒が緩和されるなか、為替は通貨ごとに材料が交錯するモザイク模様の相場となった。小幅なポジション調整が中心となり、オプション市場のボラティリティ低下が示す通り全体的に様子見姿勢が強い。ドル円は4月末以来のドル高水準である159円台前半へと上昇し、政府・日銀による為替介入警戒水準に突入したが、植田日銀総裁の利上げ地ならし発言の浸透もあり急速な値動きは見られず静観された。ユーロドルは有事のドル買い後退を受けて1.16台半ばへと堅調に推移し、ECBの6月利上げ観測や原油安を好材料にユーロ円も185円台後半へ買われた。対照的にポンドは独自の新規材料に乏しく、対ドルで前日終値を割り込むなど上値の重い推移となっている。
NY市場は、緩やかなドル買いが見られた。ドル円は159円台半ばへ上昇し再度160円の大台を試しそうな気配を示した。イラン国営通信が和平合意草案を報じたものの、米ホワイトハウスがこれを完全なでっち上げだと強く否定したことでドル高反応を招いた。依然として情勢は不透明だが合意への期待は根強く、原油安が進む一方で、インフレとFRBのタカ派姿勢継続観測がドル円の下値を固く支えている。ユーロはデギンドスECB副総裁がイラン紛争の経済的影響を見極める慎重姿勢を示したこともあり、1.16ドル台前半で伸び悩んだ。ポンドは英国の政治的不確実性や地政学的緊張による英国債の追加売りリスクが警戒され、1.34ドル台前半へと売りが強まった。全体的にポンドには底堅さがなく、下値への警戒感が色濃く残る展開となっている。
(28日)
東京市場は、有事のドル買いが優勢。米軍によるイラン軍事施設への攻撃報道に加え、イラン側からの報復攻撃も伝わったことで中東の地政学的リスクに対する警戒感が一気に高った。この流れを受けてドル円は一時159.65円まで急上昇した。同時にリスク回避の円買いも発生したためクロス円は下落し、ドル円の上昇幅も限定的なものにとどまった。ユーロドルやポンドドルもドル高の加速により一時大幅に下落し、ユーロ円などのクロス円も昼前後に押し戻される展開となった。しかしその後、イラン大統領とパキスタン首相が戦争終結に向けた外交努力について協議を行っているとの報道が伝わると過度な緊張が和らぎ、ドル買いの動きが一服した。ドル円は159.50円台へと値を落とし、欧州通貨もそれぞれ反発して下げ幅を縮小している。
ロンドン市場では、東京時間で高まった地政学リスクへの過度な警戒感が後退し、為替相場は小動きへと転じた。イランとパキスタン首脳による戦争終結に向けた外交協議報道が緊張緩和に繋がり、有事のドル買いが大きく巻き戻された形である。ドル円は一時159.65円まで上昇したものの、ロンドン入り後は次の材料待ちとなり159.38付近まで反落して安値圏での揉み合いが続いた。ドル高の一服を受けてユーロドルは1.16台を回復し、ポンドドルも一時1.34台へ買い戻されたが、足元では再び上値が重くなっている。原油先物は反発から一転して90ドル台後半へ小反落し、米債利回りも押し戻された。市場の関心はこの後にNY市場で発表されるPCE価格指数やGDP改定値など、多岐にわたる米国の重要経済指標の結果を見極める姿勢へと傾いている。
NY市場は、ドル売り優勢。ドル円は序盤に159円台半ばまで上昇したが、その後はドル安が優勢となり159円台前半へ値を落とした。米・イラン両国がホルムズ海峡の無制限航行や機雷除去を含む60日間の停戦延長と核開発交渉開始で合意したと伝わり、紛争収束への期待から安心感が広がったことが要因である。一方、朝方発表の4月米PCE価格指数は伸びが鈍化したものの依然として高水準であり、FRBのタカ派姿勢を裏付ける内容となった。原油高止まりの懸念もありドル全面安を正当化する材料に乏しく、日米金利差を背景にドル円は再び160円を試すとの見方も根強く残る。ユーロドルはECB議事要旨で6月利上げがほぼ確実視されたことで1.16ドル台半ばへ買い戻された。ポンドも買い戻されたが、英政治不安を背景とした下値警戒感は依然として継続している。
(29日)
東京市場で、ドル円は159.38円付近まで強含んだ。ただ週初からの水準変化は限定的で動意に乏しい。米イラン協議の報道を受けた原油安でもドル相場への影響は限られ、月末にかけ模様眺めムードとなった。NZドル円は94.98円付近、NZドル/ドルは0.5962ドル付近まで上昇し、2月高値に顔合わせ。ブレマンNZ中銀総裁が「政策金利は従来示唆より早く、大きく引き上げられる可能性が高い」と述べたことが手掛かりとなり、利上げ観測が強まった。欧州通貨は対ドルで重く、ユーロ円は185.40円付近、ポンド円は213.98円付近へ弱含み。一方、豪ドルは底堅く推移し、豪ドル円は114.18円付近まで水準を切り上げた。
ロンドン市場は揉み合い。ドル円は159円台前半で推移している。財務省が発表した4月28日-5月27日の為替介入実績は予想を上回る11兆7349億円の巨額となった。しかし、根強い円売り圧力と当局への警戒感が相殺し、相場はほぼ無反応だった。序盤は原油反発と米10年債利回りの4.46%への上昇を受けドル買いが先行し、欧州通貨は下押しされた。しかし、その後は明暗が分かれている。ユーロは仏CPI上振れや独雇用の堅調さを背景に底堅く、1.16台前半で下げ渋る展開。一方ポンドは、ベイリー英中銀総裁のハト派発言による利上げ見送り観測が重石となり1.34付近で軟調。6月利上げ観測のECBと対照的な姿勢が意識され、原油再軟化の局面でも両通貨の反応は対照的となっている。
NY市場でドル円は159円台前半での推移が続いた。朝方株高などもあってややしっかりとなり、159.35円前後を付けた後、トランプ大統領の発言でいったんドル売りが強まった。大統領は「イランに関する最終判断を行うため今すぐ会合を開く」「ホルムズ海峡で足止めされた船舶が帰路に着く可能性」などの内容を自身のSNSに投稿。市場はドル安原油安で反応した。ドル円は159.10円前後まで下げたものの、大台を割り込むところまで売りが出なかった。これまで何度も楽観的発言が出たものの、解決に至らなかった経緯があり、動きは慎重なものにとどまった。その後159.30円前後と下げ分をほぼ解消する動きとなった。ユーロドルやポンドドルなどでもドル安が一時強まった。ユーロドルは1.1640ドル前後での推移から、トランプ発言を受けたドル安で1.1686ドルを付けた。その後は1.1660ドル前後まで調整が入った。ポンドドルも1.3430ドル前後から1.3485ドルまで上昇。その後1.3450ドル台まで調整。クロス円はトランプ発言後に上昇した。ドル円の下げに対して、ユーロドルやポンドドルの上昇の勢いが強かったことや株高が強まりリスク選好での円売りが出たことなどが支えとなった。
ポンド円も同様に214.00円前後から214.64円まで上昇。その後214.20円台まで下げた。
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。