ドル円、一時152円付近まで急伸 円キャリートレード復活の声も=NY為替概況
ドル円、一時152円付近まで急伸 円キャリートレード復活の声も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買いが加速し、152円付近まで急上昇した。高市氏が自民党総裁に就任し、来週の首班指名を待つ中、市場は円安の動きをさらに加速させた。ドル高も続き、ドル円の上昇をサポート。
首班指名を通過して高市政権誕生になれば、減税など積極財政が期待される中、日銀も景気に配慮し、利上げペースを想定よりも緩めるのではとの見方も出ている。そのような中、一部からは円キャリートレード復活の声が出ており、「市場は短期的に円キャリートレードが復活したと結論づける可能性が高い」との指摘も出ている。
日銀の政策金利は0.50%とスイス以外の国と比較すれば圧倒的に金利水準が低い。そのような中、日銀の利上げペースが想定ほど早くはないとの観測が広がれば、円キャリートレードが台頭してもおかはしくない。また、米政府機関が閉鎖しているにもかかわらず、米株式市場は堅調な動きをしており、市場のリスク許容度が高まっていることも、円キャリートレードをフォローする。
ファンド勢も150円台後半辺りから、ロングを形成し始めているとの観測も出て、ドル円は上値追いの雰囲気が強まっている。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは68と、まだ買われ過ぎの水準である70は下回っており、もう一段上値を試せそうな気配はある。
ユーロドルは1.16ドル台半ばに下落。21日線を下放れる展開が見られており、目先は100日線が1.1625ドル付近に来ており、下値メドとして意識されそうだ。
フランスの政治リスクが再び意識されていることで、投資家がユーロ上昇への賭けを縮小した可能性が高い。しかし、ユーロへの影響は抑制されたものに留まるはずだとの指摘も出ている。市場は政治危機を見ているが、債務不履行の真の脅威は認識していない。また、債務不履行が視野に入ったとしても、ECBがその前に支援を提供することが予想されるという。
さらに、ユーロ圏全体では経常収支が黒字であることから、フランス国内のファンダメンタルズ悪化から、ユーロをある程度保護するはずだとも述べている。ただ、投資家がドルショートを解消する可能性はあることから、短期的にはユーロドルは下値を模索する余地はあると見ているという。
ポンドドルはNY時間に入って下げ渋ったものの、一時1.33ドル台まで下落。下押す展開まではまだ見られていないものの、21日線と100日線の下での推移が続いている。一方、ポンドは対ユーロや円では上昇。ポンドにポジティブな材料が出たというよりも、政治的な材料で円とユーロが下落といった印象。本日のポンド円は203円台まで上げ幅を拡大し、昨年7月以来の高値水準を更新した。
英国側の支援材料が乏しいため、現在のポンドの上昇は持続しにくいとの指摘も出ている。英経済指標は最近弱含みを示しており、先週発表の9月英サービス業PMIは速報値から下方修正され、英中銀の意思決定者パネル調査でも2020年以来で最も弱い雇用意欲が確認されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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