【これからの見通し】高市ショックでドル円は150円台乗せ、海外勢の反応を探る展開に
【これからの見通し】高市ショックでドル円は150円台乗せ、海外勢の反応を探る展開に
昨日の自民党総裁選出は高市氏だった。週明けの市場は、これを「サプライズ」として受け止めている。急速な円安(ドル円150円台乗せ)と株高(日経平均が再び最高値更新)が進行した。これは、同氏が大規模な財政出動を志向し、利上げを急がない姿勢であることから、金融緩和路線の継続に対する市場の強い確信が示されたことによる。事前の小泉氏や林氏優勢との報道からの反動も、この動きを加速させたようだ。この後の海外市場では、この円安反応の持続性と、政府・日銀による介入警戒感が最大の焦点となりそうだ。
ドル円が150円台での取引を定着させることができるのか。その原動力としては日米金利差の再認識が挙げられよう。高市氏が利上げを急がない姿勢を示しており、日本国内での金利上昇期待が後退している。10月日銀決定会合での利上げ織り込みは6割程度から2割程度へと一気に低下している。一方で、FRBは年内あと2回の利下げ観測が市場にすでに浸透しており、当局からは慎重な利下げ姿勢も示されている。したがって、急速な日米金利差の変化は見込まれず。金利差が再認識されそうだ。
一方で、150円という心理的水準を上抜けたことは、過去の介入実績や急速な為替変動に対する当局の懸念を強く意識させる。過去の事例にあったように、152円や153円などがレッドラインとして意識されそうだ。今回の値動きは日本の政局といった経済ファンダメンタルズに基づかない思惑相場だ。、介入の口実を与えやすい急激な値動きである点も指摘されよう。
この後の海外勢の反応はどうか。円売りの動きに乗り遅れた筋によるストップ注目などの可能性も指摘される。一方で、アルゴ的な取引による短期ポジションに利益確定の動きが入ることも想定される。中国市場が休場、米国市場も主要指標発表がないという流動性の薄い環境下で、介入警戒感も加わることで、かなりボラタイルな相場展開が想定されそうだ。
この後の経済指標発表は、スイス雇用統計(9月)、英建設業PMI(9月)、ユーロ圏小売売上高(8月)などが予定されている。発言イベント関連では、デギンドスECB副総裁、レーンECBチーフエコノミスト、エスクリバ・スペイン中銀総裁、ラガルドECB総裁、ベイリー英中銀総裁、シュミッド・カンザスシティ連銀総裁などのイベント参加や講演などが予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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