為替相場まとめ9月8日から9月12日の週
8日からの週は、ドル円が上下動。石破首相の退陣表明や主要な米経済指標、欧州政治イベントを背景に方向感を探る展開がみられた。週明けは「石破ショック」による急速な円安でドル円は148円台半ばに上昇、クロス円も上昇する円安の動きが広がった。しかし、弱い米雇用統計などを背景にFOMC利下げ観測は根強く、ドルは上値を抑えられ、ドル円の上昇は一時的にとどまった。米雇用者数の年次改定による過去最大規模の下方修正や、日銀の年内利上げ可能性報道も加わり、一時146円台半ばまで円高が進んだ。しかし、売りも続かずドルに買い戻しが入り、147円台を維持した。週央は米PPIの下振れを受けて米利下げ期待が強まったものの、市場反応は限定的で、ドル円は147円近辺でもみ合い。ECB理事会は金利据え置きで利下げサイクル終了が意識され、ユーロドルは底堅さを維持した。週後半は米CPIの予想上振れにもかかわらず、新規失業保険申請件数の増加でドル売りが強まり、ドル円は再び146円台へ下落。ただ、その後は持ち直し147円台に復帰するなど不安定な値動きが続いた。クロス円は総じて高値圏を維持したが、円安の勢いはやや鈍化している。政治要因で円が売られる場面と、米利下げ観測でドルが売られる場面が交錯し、ドル円は146円台から148円台までのレンジ内で上下動する週となった。
(8日)
東京市場は、石破首相の退陣表明を受け、週明けから円安が優勢となった。先週末の米雇用統計によるドル安・円高から一転し、ドル円は先週末終値の147.40台から148.58近辺まで上昇。その後は利益確定売りや調整で148.00付近まで下落し、午後は148.20台にとどまった。クロス円も同様に円売りが進んだ。ユーロ円は172.70から173.91まで上昇し、昨年7月以来の高値圏をつけたが、174円台には届かず。その後は173.40付近まで調整した。ポンド円も199.10から200.35付近まで上昇し、昨年7月以来の高値圏をつけた後、200.00を挟んでの推移となった。総じて円相場主導の展開で、ユーロドルやポンドドルは比較的落ち着いた動きだった。ユーロドルは1.1710を挟んだ推移、ポンドドルは1.3480-1.3510のレンジで動いた。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。先週末の米雇用統計の弱い結果を受けて、9月米FOMCでの利下げがほぼ完全に織り込まれている。25bp利下げが9割、50bp利下げが1割程度と大幅利下げ期待も出てきている状況。ドル円は週末の石破首相辞意表明を受けて、先週末の147円台半ばから東京午前には148円台半ば超えまで買われた。しかし、その後はドル売りに上値を抑えられている。ロンドン序盤には147.40台まで下落、石破ショックの円安は一服している。ただ、足元では147円台後半へと再び買われており、方向性は定まらない。クロス円は週明けの急速な円安に調整が入っており、ユーロ円は173円台前半、ポンド円は199円台へと下押しされている。ドルストレートはややドル売りに傾いており、ユーロドルは1.17台前半、ポンドドルは1.35台前半で推移している。米10年債利回りは4.10%付近が重く、一時4.07%台まで低下した。きょうは目立った経済統計発表は予定されていない。あすの米雇用者数の年次改定が注目されているもよう。
NY市場では、ドル安が続き、ドル円は147円台前半で伸び悩んだ。前日の石破首相辞任報道で開いた円安の窓を埋める形となった。市場は来週の9月FOMCを控え、今週発表される米消費者物価指数に注目している。エコノミストからは、企業が関税によるコストを消費者に転嫁しやすいため、CPIが高めに出る可能性が指摘された。短期金融市場では年内3回の利下げ確率が80%まで高まっており、9月の50bp大幅利下げが焦点となっているが、その可能性は低いとみられている。ユーロドルは買いが続き、一時1.1765ドル付近まで上昇。ユーロ円は173円台での推移が続いた。仏国民議会でのバイル首相に対する不信任案の可決後もユーロの反応は限定的だった。今週のECB理事会を控え、ユーロの強気ポジションへの需要は堅調だ。ポンドドルも買い戻しが続き、1.35ドル台半ばまで上昇。ポンド円は前日の円安から一時200円台を回復したものの、199円台後半で底堅く推移している。ストラテジストは、英国の財政見通しから中期的なポンド下落を指摘している。
(9日)
東京市場では、ドル安・円高が進む展開となった。ドル円は、週末の石破首相退陣表明を受けた円売りで一時148.50台まで上昇したが、その後はドル売りが優勢となり、147.50付近で東京朝を迎えた。東京午後に再び売りが強まると、ストップロスを巻き込み146.82付近まで下落した。この円高トレンドは、23時に発表される米雇用統計の年次改定暫定値への警戒感が背景にある。70万人の大規模な下方修正が見込まれており、日米金利差の縮小を意識したドル売り・円買いが優勢となっている。ユーロ円やポンド円といったクロス円も軟調に推移し、ユーロ円は朝の173.30付近から172.90台へ下落。ポンド円も199.80付近から199.40付近まで値を下げた。ユーロは、フランスの政局混乱による重さが警戒されている。一方、対ドルではユーロとポンドが堅調に推移。ユーロドルは1.1760前後から1.1780付近まで、ポンドドルは1.3540台から1.3582付近まで上昇した。
ロンドン市場は、円買いが強まっている。関係者発言として「日銀は政治混迷でも年内利上げ排除せず、今月は政策維持へ」と報じられたことに反応した。ドル円は147円台前半から146円台前半まで、約1円幅で下落している。クロス円も軒並み円高が進行。ユーロ円は173円台割れから172円台前半へ、ポンド円は199円台後半から198円台後半へと下落している。フランス政局混迷を受けて仏伊長期債利回りが初めて逆転している。ユーロには売り圧力が掛かり、特に対ポンドでの動きが顕著。また、日本時間午後11時の米雇用者数の年次改定を控えて根強いドル売り圧力もみられている。ユーロドルは1.17台後半に一時上昇、ポンドドルは1.36手前へと上昇している。
NY市場では、ドル高が優勢となり、ドル円はロンドン時間の下げを取り戻す展開となった。ロンドン時間には日銀の年内利上げ姿勢に関する報道で円高が進み、ドル円は一時146.30円付近まで下落。しかし、NY時間に入るとドル買いが強まり、147円台半ばまで値を戻した。米雇用者数の年次改定で過去最大の下方修正が発表されたものの、市場の反応は一時的であった。ユーロドルは1.17ドル台前半に下落したが、ドルの先安感から底堅い値動きを維持。ユーロ円はロンドン時間の円高で下落したものの、172円台半ばで下げ渋った。今週のECB理事会に関して、金利据え置きの可能性が示唆されている。短期金融市場では来年半ばまでの追加利下げが70%程度織り込まれている。ポンドドルはNY時間にかけて値を下げたが、21日線上を維持。ポンド円も21日線上での推移が続いている。来週のFOMCでの利下げは既に織り込まれているとの見方から、ポンドドルの上昇余地は限定的との指摘も出ている。
(10日)
東京市場では、ドル円が方向感を欠く展開となった。早朝には、昨日のドル全面高の流れを受け147.57付近まで上昇したが、147.50超えでは利益確定の売りに押され147.30付近まで下落した。その後も安値圏ではドル買いが見られ、147.49付近まで戻すなど、明確な方向感のない動きが続いている。今夜発表される米生産者物価指数が注目される。一方、クロス円はしっかりとした動きとなった。ユーロ円は株高を背景としたリスク選好の円売りから172.70付近まで上昇。ポンド円も円売りが強まり199.61付近まで値を上げた。ユーロドルは早朝に1.1690付近まで下落したが、その後はドル安の流れで1.1710付近まで回復。ポンドドルは1.35付近での推移が続いた。
ロンドン市場は、小動き。ドル円は147.27-147.59までの狭いレンジで売買が交錯している。ユーロドルは序盤に売りが入る場面があった。ロシア・ドローンがポーランド領内に侵入し、これを撃墜したとの報道にユーロ売りの反応がみられた。ユーロドルは1.1718レベルを高値に一時1.1683レベルまで下押しされた。しかし、すぐに1.17付近へと買い戻されている。ポンドドルは1.3513-1.3545での上下動。いずれも前日NY終値を挟んで振幅するにとどまっている。昨日の米雇用者数の年次改定をにらんだドル売りと、その後のドル買戻しの動きに、市場は疲弊したようだ。このあとは米生産者物価指数(PPI)発表が控えている。そして、あすには米消費者物価指数(CPI)が発表される。
NY市場では、ドル円が147円台での推移を続けた。8月の米生産者物価指数(PPI)が予想外の低下となり、米利下げ期待がさらに高まったが、市場の動きは限定的だった。来週のFOMCでの利下げはほぼ確実と見られているが、50bpの大幅利下げへの期待は高まっていない。今後は、FOMCの金利見通しと、10月の自民党総裁選の結果が注目される。政治情勢によって日銀の利上げが遅れるとの観測も広がっており、ドル円は総裁選の結果次第という見方も出ている。ユーロドルは1.17ドル付近、ユーロ円は172円台で推移し、レンジ取引に変化はない。明日のECB理事会では据え置きが確実視されており、利下げサイクル終了が示唆されればユーロは上昇する可能性がある。ポンドドルは1.35ドル台を維持。ポンド円も199円台での推移を続けた。英国経済指標はなかったが、明日の米CPIがポンドの動向に影響を与える可能性がある。一部アナリストは、ポンドは当面レンジ内で推移し、英中銀が12月に追加利下げを行う可能性も指摘している。
(11日)
東京市場で、ドル円は、米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて動きが限定的だった。昨日の米生産者物価指数が予想を下回るも相場の動きは限定的で、ドル円は147.25付近から147.50付近のレンジでの推移が続いた。しかし、午後に高市氏の総裁選出馬報道が伝わると、積極財政への懸念から円売りが強まり、147.74付近まで上昇した。クロス円も同様に、円売りの流れが強まった。ユーロ円は172.50付近を挟んだ揉み合いから172.67付近まで上昇。ポンド円も199.30付近から199.50付近でのレンジ取引から199.65付近まで値を上げた。ユーロドルは1.1707付近から1.1684付近へ、ポンドドルも1.3540付近から1.3512付近へと上昇。市場にはすでに9月米利下げが織り込まれているため、今夜の米CPIの影響は限定的との見方が強い。
ロンドン市場は、ドル買い・円売りが優勢になっている。共同通信が「高市前経済安保相が総裁選に出馬する意向を岸田前首相に伝達」と報じたことが円売りの反応を広げた。ドル円は147円台半ばから後半へと上昇。足元ではドル円は147.99レベルと148円台にあと一歩に迫っている。クロス円も円安に振れている。ユーロ円は172円台半ばから173円手前水準へ、ポンド円は199.40台から200円付近へと上昇している。ドル円の上昇とともに、その他通貨にもドル買いの動きが波及した。ユーロドルは1.17台割れから1.1678レベルに安値を更新。ポンドドルは1.35台前半から一時1.3494レベルと大台割れに軟化した。このあとにはECB理事会の政策金利発表、8月の米消費者物価指数(CPI)発表が控えている。ドル買いにはポジション調整の面も加わっているようだ。
NY市場では、米経済指標を受けドル安が強まった。注目された米CPIは予想を上回ったが、市場は同時に発表された米新規失業保険申請件数の大幅な増加に反応し、年内3回の利下げを完全に織り込む動きを見せた。ドル円は一時146円台まで下落した。しかし、その後147円台に持ち直した。一方、日本の自民党総裁選の行方も注目されており、候補者によっては円安シナリオが広がるとの見方も出ている。ユーロドルはドル安を受けて1.17ドル台半ばまで上昇。ユーロ円はドル円の失速から172円台で伸び悩んだ。本日開催されたECB理事会では、2会合連続で政策が据え置かれた。ラガルド総裁の発言を受け、市場は利下げサイクルが終了した公算が大きいとの見方を織り込んでいる。ポンドドルは1.35ドル台後半に上昇するも、英財政への懸念から上値が重い可能性も指摘された。ポンド円は一時200円台を回復したが、その水準は維持できなかった。
(12日)
東京市場は、ややドル買いが優勢。ドル円は朝から昼過ぎにかけてドル高・円安が進行し、147.55付近の高値をつけた。前日の米CPI発表後のドル売りに対する調整や、日経平均の上昇に伴うリスク選好の円売りが広がった。その後は高値から調整が入り、147.30付近まで下落した。クロス円も同様に上昇後、円買いに押される展開となった。ユーロ円は173.02付近、ポンド円は200.00付近をつけた後に値を下げた。ユーロドルやポンドドルは、ドル買い優勢の中で上値の重い展開が続いたものの、大きな動きにはならなかった。ユーロドルは1.17台前半、ポンドドルは1.35第後半から半ばで推移。ユーロ対ポンドでは、ややユーロが買われた。昨日のECB理事会を経て、当面のECB金利据え置き観測が広がった。
ロンドン市場は、円売りが優勢。ドル円、クロス円ともに上昇している。ただ、来週の日銀決定会合関連の材料は特段みられず。自民党総裁選に関する共同通信の世論調査で、高市氏の優勢が報じられており、円売りにつながった面も指摘される。ドル円は147円台前半から一時148円目前まで買われたが、大台乗せには至らず147円台後半で推移している。クロス円も堅調。ユーロ円は172円台後半から173円台半ばへ、ポンド円は199円台後半から200円台半ばへと買われている。豪ドル円は98円台前半から半ばへと上昇。欧州株や米株先物・時間外取引は調整に押され気味となっている。ドル相場は方向感なく振幅。ユーロドルは1.17台前半から半ば、ポンドドルは1.35台前半から後半で振幅するなど前日の値動きに調整が入る格好となっている。週末、特に日本勢は三連休を控えている。このあとのNY市場ではミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が発表される。
NY市場でドル円は序盤に一時148円台に上昇したものの、後半に147円台半ばに伸び悩む展開。米国債利回りが上げ幅を縮小したこともドル円を圧迫しているようだ。ドル円は21日線を挟んでの上下動が続いており、100日線と200日線の間でのレンジ相場に変化はない。先週から今週にかけての雇用とインフレの指標とを経て、市場は来週のFOMCでの利下げを期待から確信に変えている。ただ、一部で観測されている0.50%ポイントの大幅利下げはないと見られているようだ。その確率は10%以下となっている。

執筆者 : MINKABU PRESS
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