ドル円、再び143円台半ばまで一時下落 トランプ大統領の投稿で=NY為替序盤
きょうの為替市場は海外市場に入ってドル高が優勢となっている。ドル円は東京時間に一時143円台半ばまで下落していたが、144円台まで一時買い戻されていた。しかし、NY時間に入ってトランプ大統領の投稿が伝わり、市場の雰囲気が再び悪化。ドル円も143円台半ばまで売られる場面が見られた。
大統領はソーシャルメディアへの投稿で「中国が米との合意を破った。いい人を装うのはここまでだ」と語った。米中合意への期待がこのところの米株式市場の急反発を支えていただけに気掛かりな投稿ではある。ベッセント財務長官も前日遅くに、中国との貿易交渉はやや停滞していると述べていた。
また、先ほどFRBが注目しているインフレ指標である4月のPCE価格指数が発表になっていたが、コア指数は予想通りに前年比2.5%と前回から鈍化していた。市場は年内に2回の利下げを織り込んでいるが、その動きに変化はない。
ドルの弱気見通しに変化はなさそうな一方、円の強気見通しにも変化はなさそうだ。本日は5月調査分の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が公表されていたが、インフレ圧力が依然として高水準にあることが示され、最近の円高が物価上昇を抑制する効果がほとんど発揮されていないことを示していた。
円は対ドルで年初から約9%上昇しているが、貿易加重の実効為替レート(名目)はその約半分の上昇に留まっており、さらなる上昇余地が残されているとの指摘も出ている。実効為替レートは2024年7月の直近安値から比較しても僅か9%程度の上昇に留まっている現状では、円高が進んでも日本の対外競争力を脅かすことはない。これは日銀に柔軟性を与え、一部からは日銀が7月の決定会合で利上げとの予想も出ている。ただし、日銀の慎重姿勢を考慮すると、事前に明確に示唆する可能性は低いという。
なお、日本時間23時のNYカットでのオプションの期日到来は143円に観測されている。
30日(金)
143.00(33.9億ドル)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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