ドル円、一時140.50円付近まで急落 パウエル議長解任圧力も重石に=NY為替概況
ドル円、一時140.50円付近まで急落 パウエル議長解任圧力も重石に=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時140.50円付近まで急落した。本日も市場はトランプ大統領絡みでリスク回避の雰囲気が強まり、米株式市場でダウ平均が一時1300ドル超急落する中、ドル円も下げを加速させた。140円を試しそうな気配が濃厚となって来ている中、下値ではショートカバーも散見されていたものの、141円付近にレジスタンスが形成されたようで上値を抑えていた。
市場はトランプ大統領の関税政策のほか、パウエルFRB議長の解任を巡る発言に神経を尖らせている。ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は市場が休場だった18日に、パウエル議長の解任を検討していると発言し、議長に対する米政権の不満が浮き彫りになっている。
それに輪をかけるように、トランプ大統領が本日、パウエル議長に再度利下げを要請。先週も同様の発言があったが、大統領は自身のソーシャルメディアへの投稿で、「多くの人が予防的な利下げを求めている」と述べていた。「エネルギーコストや食料品価格が大幅に低下している中で、インフレはほぼ起こらないが、パウエル議長がいますぐ金利を引き下げない限り、経済の減速は避けられない」とも付け加えていた。
ドル円は本日の下げで21日線から更に下放れしている。140円を完全にブレイクするようであれば、月足ベースでの三尊天井も形成され、テクニカル的には、本格的に下値警戒感が強まりそうな気配となっている。
ユーロドルは一時1.1550ドル付近まで上昇。2021年11月以来の高水準を記録した。今回のドル安の受け皿にユーロも入っているようで、ユーロドルは活発に買い戻されている格好。
ストラテジストからは「本日のドル安のきっかけはパウエル議長への圧力かもしれないが、現実にはもはやドル売りにこれ以上の理由は不要だ」と述べている。過去3カ月に起きた出来事そのものが今後数カ月に渡り、ドル安が続く十分な理由になるという。
来週発表の第1四半期の米GDP速報値は前期比年率0.4%の小幅な伸びが予想されているが、マイナス成長の可能性すらある状況。その場合、米経済の例外的強さという神話に終止符が打たれるかもしれないとも述べている。
ポンドドルは1.34ドル台まで一時上昇。本日で10日続伸となっており、昨年9月以来の高値水準に上昇した。今週は4月調査の英PMI速報値や3月の小売売上高(数量べース)の発表が予定されているが、いずれも前回から低下し、弱い内容が見込まれている。
貿易戦争のリスクが残る中、英中銀は予想以上に利下げを拡大するとの見方が市場では根強い。トランプ大統領が相互関税の上乗せ措置を一時停止しているものの、もともと英国には相互関税の上乗せ措置はなく、基礎部分の10%だけとなっている。それはなお残存しており、英経済に与える影響が予想以上に深刻化し、英中銀の利下げペースは加速すると見られているようだ。
ただ、ポンドドルはしばらく、ポンド自体の材料よりも米国発の材料に振り回されそうだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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