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為替相場まとめ1月13日から1月17日の週

為替 

 13日からの週は、週後半にドル安円高が強まった。週の前半は10日の米雇用統計が強く出たことを受けたドル買いの流れが継続。米FRBの追加利下げ期待が後退する形で14日米国市場で158円20銭前後を付けた。15日東京市場午後から円高の流れが強まった。植田日銀総裁が前日の氷見野日銀副総裁の発言を踏襲する形で1月会合で利上げを議論し判断などと発言。氷見野氏の発言では限定的な動きにとどまった円買いが一気に入った。さらに米消費者物価指数でコア前年比が予想に届かない伸びにとどまったことでドル売り円買いがさらに加速。16日にはタカ派で知られたウォラーFRB理事が、追加利下げの可能性に言及したこともあり、154円90銭台を一時つけている。


(13日)
  東京市場は「成人の日」の祝日で休場。

 ロンドン市場では、円高・ドル高の動き。先週末の強い米雇用統計結果を受けた米債利回り上昇・株安・円高・ドル高の流れが週明けも継続している。短期金融市場では年内の米利下げ幅の織り込みを24bpに縮小している。今年の利下げ回数は1回に留まるとの観測が広がっている。先週末は米株が大幅安となったが、週明けもアジア株が下落、欧州株や米株先物・時間外取引も続落している。米英がロシア石油企業に追加制裁を実施、米AI半導体に新たな規制を発表するなどリスク警戒の材料もでている。ドル円は157円台後半から157円割れ目前まで下落。ユーロ円は161円台後半から160円割れ目前まで、ポンド円は193円手前水準から190円台割れ目前まで一時下落。ユーロドルは1.02台半ばから1.01台後半へ、ポンドドルは1.22台前半から1.21付近まで下落した。ポンド自体の売り圧力も継続。対ユーロでもポンドは軟調に推移している。英株式・債券ともに売りに押されており、水曜日の英物価統計発表を控えて神経質な地合いが続いている。

 NY市場では、ダウ平均の反発で警戒感が後退。ドル円は取引後半に157円台後半まで買い戻された。朝方には156円台まで下落していたが、その後は買い戻しが強まり、本日の下げの大半を戻した。先週の強い米雇用統計で市場はFRBの利下げ期待を大きく後退させており、為替市場ではドル買いの動きは続いている。しかし、それ以上に円高の動きが強まり、ドル円は下押す動きが出ていた。株式や米国債の不安定な動きがリスク回避の円高を呼び込んでいる格好だが、本日の米株式市場でダウ平均がプラスに転じており、懸念も一服している模様。ユーロドルは下値模索を続け、一時1.01台まで下げ幅を拡大した。2022年11月以来の安値水準。市場ではパリティ(1.00ドル)までの下げを見込む向きが増えており、3月末までに60%の確率でパリティに下落するとの見方も。ポンドドルも一時1.21ちょうど付近まで下落。ポンドは今週さらに下落する可能性あり、水曜日の英消費者物価指数(CPI)がきっかけとなる可能性があるとの指摘が出ている。英国債にとってもさらなる問題の兆しとなり得るとも指摘。

(14日)
 東京市場では、ドル円が神経質に上下動。午前に氷見野日銀副総裁の発言を受けて157円台前半から158円ちょうど付近で振幅したあと、午後は157円半ばを中心に小動きとなった。今月23日と24日に日銀金融政策決定会合を控えるなか、氷見野日銀副総裁は「見通しが実現すれば、今後も金融緩和の度合いを調整する」「トランプ次期米大統領の就任演説などみて議論し利上げを判断する」などと発言した。ユーロ円は161円台半ばを挟んで揉み合い、方向性の定まらない動きが続いた。ユーロドルは、朝方に一時1.0278付近まで上昇したあと、上げを帳消しにして、前日終値付近で小幅な値動きにとどまった。日本時間今夜10時30分には12月の米生産者物価指数(PPI)の発表を控え、午後には様子見ムードが広がっている。

  ロンドン市場では、やや円安の動きとなっている。東京午前は氷見野日銀副総裁の発言をめぐってドル円が157円台前半から158円台乗せ水準で上下動した。しかし、午後には157円台半ばでの揉み合いと方向性は出なかった。ロンドン市場では欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移しており、先週末の強い米雇用統計後の市場の混乱は一服している。この後の米生産者物価指数や明日の米消費者物価指数発表の結果を見極めたいとのムードもあるようだ。ドル円は157円台前半から再び買われ、高値を158.03近辺まで小幅に伸ばしている。ユーロ円は161円台前半から162円台乗せへと上昇。豪ドル円も97円台半ばから97円台後半へと上昇した。その一方で、ポンド円は192円台で方向感なく揉み合っている。対ユーロでのポンド売りは継続しており、英財政赤字拡大を警戒する動きは根強い。あすには英消費者物価指数が発表される。

NY市場では、ドル買いが一服。本日の12月の米生産者物価指数(PPI)は予想下回り、インフレ再燃を懸念していた市場に安心感をもたらした。為替市場もドル売りで反応し、ドル円も一時157円台半ばに値を落としていたが、反応は一時的で、動きが一巡すると買いが膨らんだ。米株式市場が買い戻されたこともあって円安が下値をサポートし、ドル円は158円台に上昇したが、158円台に入ると売り圧力も根強い。ただ、下値の底堅さは確認できていることから、明日以降160円を目指す展開になるか注目される。ユーロドルは1.03ちょうど付近に買い戻された。前日は1.01台まで一時下落していたが、買い戻しが活発化し、前日のローソク足は長い下ヒゲを付けていた。米大手銀のアナリストは短期的なユーロの見通しについて、市場は悲観的過ぎると指摘している。ユーロ安・ドル高を予想するポジション、つまりユーロ下落を見込むポジション、およびユーロに対する悲観的な見方が極端な水準に達しているという。米国の関税リスクや経済問題でユーロは短期的にさらに下落する可能性はあるが、それ以降の見通しは明るいという。一方、ポンドドルは買い戻しを強める気配までは見られず、1.22台を回復したものの、それ以上の上値追いは限定的。本日も英国債利回りは上昇していたが、この状況は英国の財政状況に課題もたらす可能性があるとの指摘が出ている。英政府は財政の信頼性を維持するために市場の懸念に対処する必要があるとも指摘。

(15日)
 東京市場では、午後に入って円買いが強まった。ドル円は午前は158円付近から158.08近辺に高値を伸ばすも、その後は157.90前後での揉み合いに落ち着いた。しかし、午後には植田日銀総裁発言を受けて一気に円高に傾いている。総裁は先月の会合でも示した今後も経済物価情勢の改善が続くなら政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整することを改めて示した。また利上げを行うかどうか、来週の会合で議論し判断する考えを示した。昨日の氷見野副総裁も同様の姿勢を示しており、正副総裁の同様の発言を受けて、市場では1月利上げの可能性を意識する展開となっている。ドル円は157円台前半へと下押しされている。クロス円も軒真美円高方向に振れ、ユーロ円は162円台後半から161円台後半へ、ポンド円は193円付近から191円台後半へと下落。ユーロドルは1.0300を挟んで16ポイントレンジにとどまっている。

 ロンドン市場では、円買いが優勢。東京午後に植田日銀総裁が次回決定会合で利上げについて議論されるとしたことに反応。内容的には昨日の氷見野副総裁の発言と大差ないものだったが、市場は利上げ期待を高めている。ドル円は158円付近から155.70付近へ、ユーロ円は162円台後半から一時161.50付近まで、ポンド円も192円台後半から191.35付近まで下落した。ただ、欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移しており、円買いの動きは次第に落ち着いた。ポンドにとっては12月消費者物価指数が予想を下回る伸びにとどまったことが一瞬売りを誘ったが、その後は買戻しが優勢になっている。英中銀の利下げ観測がやや高まり、英株が買われたほか、英国債の売りも一服している。ただ、ポンドドルは1.21台後半から1.22台前半までの値動きにとどまっており、前日NY終値から離れずの水準で取引されている。次第に米消費者物価指数の発表待ちのムードとなっている。

NY市場では注目された12月の米消費者物価指数(CPI)のコア前年比が予想を下回る伸びとなったことでドル売りが一時強まった。ドル円は一時155円台を付けた。東京市場午後からの円買いの流れもドル円の重石となっていた。その後156円台後半まで買い戻しが入ったが、CPI前の水準戻さなかった。ユーロドルは1.0300ドル前後での推移から米CPIを受けたドル売りに1.0354を付けた。しかしすぐにユーロ売りが入ると、発表前水準を割り込んで1.0260前後を付け、その後1.0300近くへ戻すなど、一方向の動きにならなかった。

(16日)
 東京市場では午前中に円高が加速する場面が見られた。昨日の東京午後から進む来週の日銀会合での利上げ見通しをにらんだ円買いが強まった。米紙が来週月曜日のトランプ大統領就任式で大きな金融不安が生じなければ日銀は利上げに踏み切るとの観測を示したことなどが円買いとなった。昨日海外市場の安値155.965を割り込むとストップロス注文を巻き込んだ売りとなり、155.21を付けている。安値から少し戻すと、午後は買い戻しが優勢となり156円台を回復。来週の大統領就任式や日銀会合などを前に、行き過ぎた動きニモ警戒感が出ていた。昨日米消費者物価指数後に振幅を見せたユーロドルは狭いレンジでもみ合いに終始。次の方向性を探る展開。クロス円は午前中ドル円同様に円高が進行。ユーロ円は節目の160円を割り込み、159.75を付けた。午後は円高一服で160円台後半まで上昇。

 ロンドン市場でドル円は東京午前の155円20銭台までの円高に対する調整もあった156円30銭台を回復も、ドル買い一服後は再び舌を試す展開となった。22日、23日の日銀会合での利上げ期待が強まっており、円買いが入りやすくなっていた。ユーロドルは1.0280-1.0300をコアとしたレンジ取引が中心となった。1.0300台を付ける動きも、すぐに売りが出た。やや目立ったのがポンドの売りで、16時発表の11月英月次GDPや銅鉱工業生産、製造業生産高がいずれも市場予想を下回り、ポンド売りとなった。ポンドドルは1.2220前後から1.2190前後まで下げた。ポンド円は円買いもあって190円台後半から189円80銭前後を付けた。

 NY市場でドル円は一時155円台前半を付けた。タカ派で知られたウォラーFRB理事が、15日の米CPIを受けて、こうした数字が続くと上半期にも利下げが行われる可能性と示し、ドル安となった。1.0260台を付けていたユーロドルが1.0300台を戻すなど、ドルは全面安となった。


(17日)
 東京市場でドル円は午前中に154円98銭を付けた。昨日のドル安円高の流れが継続した形で、昨年12月19日以来の154円台となった。もっとも週明けの米大統領就任式を警戒する動きから、すぐに155円台に戻すと、その後はドル買い円売りが優勢となった。ユーロドルが午前の1.0309から1.0285を付けるなど、ドル全般の上昇傾向が支えとなった。米中関係の悪化懸念からオセアニア通貨の売りがやや優勢となっており、豪ドルは0.6220手前から0.6195、NZドルは0.5616から0.5584を付けた。クロス円はドル主導で不安定な動きも、ドル円の上昇もありしっかり。ユーロ円は160円20銭前後を付けている。

 ロンドン市場でドル円は155円台後半を中心とした推移となった。東京午前の安値からもどしてきた流れが継続。欧州株の堅調な動きを受けたリスク選好の円売りも支えとなり155円80銭台を付けている。ドル高の流れと軟調なポンドの動きなどを受け、ユーロドルは一時1.0270台を付けたが、その後1.0300前後での推移に戻している。ポンドは16時に小売売上高が弱く出たことで売りが強まった。ポンドドルは1.2210台から1.2160近くまで、ポンド円は190円10銭台から189円30銭台までと、ともにポンド安が進んだ。昨日の11月英月次GDP、同鉱工業生産、同製造業生産高の弱さも、英景気の鈍化懸念につながっており、ポンドはやや売られやすくなっている。

 NY市場でドル円は156円台前半に戻した。ドル自体は方向感のない展開となっていたが、円安の動きがドル円を押し上げていたようだ。米株式市場が大幅高となったほか、下げて始まった米10年債利回りも前日付近に戻す中、ドル円も買い戻しが優勢となった。一方、日銀が来週の決定会合で追加利上げを行うとの見方が強まっている。植田総裁や氷見野副総裁も講演で利上げを議論すると述べ、それと伴に観測報道も広がっており、9人の委員の過半が追加利上げを支持との報道も流れていた。短期金融市場では来週の利上げの確率を85%近くに高めている一方、今週の動きで利上げはほぼ織り込み済みといった雰囲気もあるようだ。当日は次のヒントを探る会合になるのかもしれないが、日銀がタカ派な利上げ姿勢になる可能性は低く、強い円高の反応は期待しにくいといった声も聞かれる。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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