FX/為替「CPIは警戒したほどではなく米9月利下げ期待高まる FRB高官発言に注意」 外為どっとコム トゥデイ 2025年8月13日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年8月13日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村勉
目次
▼12日(火)の為替相場
(1):RBA 予想通りに25bp利下げ
(2):英雇用統計は横ばい
(3):独ZEW景気期待 前月から大幅に低下
(4):米CPI まちまちの結果
(5):FRB高官ら 政策金利について語る
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感を探る展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
12日(火)の為替相場
期間:12日(火)午前6時10分~13日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):RBA 予想通りに25bp利下げ
豪中銀(RBA)は市場予想通りに政策金利を3.60%へ25bp(0.25%ポイント)引き下げた。声明では「基調的なインフレ率が2-3%のレンジ半ばに向けて低下し続け、労働市場の状況も予想通りにわずかに鈍化していることから、さらなる金融緩和が適切と判断した」とした一方で、「需給の双方について不確実性が高まっていることを踏まえ、見通しについて慎重な姿勢を崩していない」と先行きを楽観視していない姿勢も示した。同時に公表した金融政策報告では、2025年末のインフレ予測は前回(5月)の+3.0%を維持したが、国内総生産(GDP)成長率予測は前回の+2.1%から1.7%へ下方修正された。その後の会見でブロック総裁は「物価安定のために政策金利をさらに引き下げる必要がある可能性がある」としたが、「大幅な利下げに関する議論は行われていない」「会合ごとに状況を判断する」などと慎重な姿勢を示した。
(2):英雇用統計は横ばい
英4-6月週平均賃金(除賞与)は前年比+5.0%と市場予想通りに3-5月と同じ伸び率となった。同失業率は4.7%と予想通りに3-5月から横ばいだった。なお、英7月失業保険申請件数は-0.62万件、同失業率は下方修正された前月と同じ4.4%だった。
(3):独ZEW景気期待 前月から大幅に低下
独8月ZEW景気期待指数は34.7と市場予想(39.5)や前月(52.7)を大幅に下回った。ZEW(欧州経済センター)は、「金融市場の専門家は、欧州連合(EU)と米国の貿易枠組み合意に失望している」と指摘。「特に化学・製薬産業の見通しは悪化し、機械工学、金属産業、そして自動車産業も深刻な影響を受けている」との見解を示した。
(4):米CPI まちまちの結果
米7月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%、前年比+2.7%となり、前月比は市場予想通りとなったが、前年比は予想(+2.8%)を下回り、前月と同じ伸び率だった。また食品やエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.3%、前年比+3.1%となり、前月比は予想通りの伸びとなったが、前年比は予想(+3.0%)以上に前月(+2.9%)から伸びが加速した。ただ、コアCPIの伸びはサービス価格の上昇によるものが大きく、市場が警戒していた財価格の伸びは緩やかなものとなった。
(5):FRB高官ら 政策金利について語る
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつある」としつつも、「連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは依然として明確ではない」との認識を示した。また9月の金利調整については「次回会合までに多くの情報が得られる」とし、予断を持たない考えを示した。その後、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は、「経済の勢いが持続し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準に止まる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」との見解を示した。一方で、需要の伸びが「著しく鈍化し始めた」場合には、自身の見通しを調整することは可能と付け加えた。
12日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:方向感を探る展開
昨日のドル/円は約0.2%下落。米7月CPIと同コアCPIは強弱まちまちの結果となったが、市場が警戒したほどの伸びではないと受け止められ、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が高まると一時147.58円前後まで下落した。
直近の米7月雇用統計や同CPIの結果を受けてFedWatchで見る9月の利下げ織り込みは約93%まで上昇している。本日は米国にて主力級の経済指標の発表は予定されていないが、複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官が講演を予定している。特にシカゴ連銀のグールズビー総裁は今年のFOMCでの投票権を有するため、同氏の発言に注目が集まる。
米早期利下げ観測からドルが売られやすい一方で、日本国内政治の先行き不透明感から円買いに大きく傾ける状況でもない。ドル/円は方向感を探りながら次の材料を待つことになりそうだ。
注目の経済指標:豪賃金指数
注目のイベント:FRBら高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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