為替相場まとめ6月24日から6月28日の週
24日からの週は、ドル円が161円台に上昇した。週初の159円付近からの値幅自体は2円強とそれほど急激ではないが、心理的水準かつ前回の介入ポイントだった160円をクリアしたことが市場にインパクトを与えた。週を通じてクロス円も上昇傾向を示しており、ユーロ円は172円台に上昇、ユーロ発足以来の最高値を記録した。円相場主導の展開となるなかで、政府・日銀による介入警戒感も次第に高まった。ただ、金曜日に発表される米PCEデフレータ(価格指数)の結果を見極めたいとのムードがあるなかで、政府・日銀による為替介入実施は手控えられている。ドルストレートでは振幅を伴いながらもドル高方向への歩みを進めた。ドル指数は2か月ぶりの高水準となっている。米当局者のタカ派発言もあり、その他中銀よりも利下げ開始が遅れるとの見方がドル買いを誘った。政治面での話題も豊富だった。フランスの国民議会選挙が6月30日迫っており、週明けの欧州市場が注目されている。また、米大統領選の初回TV討論会が実施され、バイデン大統領に対してトランプ氏に優勢との評価が、ドル買い反応を誘う場面もみられた。来週7月4日には英総選挙も実施される予定。財務省関連では、神田財務官が7月末で退任する。後任には三村国際局長が昇格する。週末の米PCEデフレータはインフレ鈍化傾向が示されドルが売られたが、ロンドンフィキシング関連のドル買いもあり反応は続かなかった。
(24日)
東京市場で、ドル円は159円台後半と先週末からの高値圏で推移。早朝に159.80台と先週末高値付近に並んだあと159.60台まで反落も、再び買われて159.92レべルと直近高値を更新した。ただ、160円を試すには至らず。介入警戒感が上値を抑える格好だった。午後は159円台後半での揉み合いに。先週末ユーロ圏及び独、仏のPMIの弱さもあり1.06台を付けたユーロドル。週明けは1.0680台でスタート。午後に入って1.0700を付け始めるなど、ややしっかりも値幅は限定的。ユーロ円は170円台後半推移。対ドルでのユーロ買いもあり午後はややしっかり。
ロンドン市場は、ドル円が一時急落。ロンドン序盤は159円台後半での揉み合いが続いた。しかし、日本時間午後7時過ぎに159.60割れから一気に158.80付近まで急落。その後はすぐに買戻しが入っており159円半ば付近で推移している。東京朝方には神田財務官と鈴木財務相が円安けん制発言を行っており、節目水準の160円に接近したこともあって市場には市場介入への思惑が広がっている。クロス円も同様に振幅。ユーロ円は171.30付近を高値に一時170.33近辺まで、ポンド円は202.34近辺を高値に201.17近辺まで一時急落した。その他通貨では、総じてドル安方向に振れる動きになっている。先週後半のドル高に調整が入る格好となっており、ユーロドルは1.07台前半、ポンドドルは1.26台後半などへと上昇している。欧州株や米株先物・時間外取引は堅調に推移し、リスク警戒の動きは一服。6月独Ifo景況感指数は予想外に低下したが、ユーロ売り反応は特段みられていない。
NY市場では、ドル円はロンドン時間の下落を戻した。NY時間に入ると買い戻しが活発化し、159円台後半と下落前の水準に戻した。米株式市場でダウ平均が一時400ドル超上昇していたことも買い戻しをサポートしていたようだ。きょうはドル高は一服しているものの、日米の金利差に着目した根強い円安がドル円をサポートしている。ユーロドルは1.07台に反発も、1.0750付近では上げ止まった。ユーロ圏のディスインフレは減速しているが、脱線はしていないとの見方が広がっていた。ポンドドルはNY時間に入って伸び悩んだものの、1.27台手前まで買い戻された。市場では英中銀が8月に利下げを行うとの期待が高まっている。また、7月4日の総選挙では、労働党が優勢で、政権交代の可能性が高い。ただ、ポンドへの影響は限定的とみられている。
(25日)
東京市場では、ドル円が反落。午前中に仲値に向けた本邦輸出企業からのドル売り観測が広がり、159.19近辺まで下押しされた。160円を前にした介入警戒もあったようだ。その後は159.30-50レベルでの揉み合いに落ち着いた。ユーロ円は171円台前半から一時170.89近辺まで下落。その後は171円台を回復している。ユーロドルは1.07台前半で、13ポイントレンジ。豪ドル/ドルは0.6650-0.6668レンジ。株高もリスク選好の動きは盛り上がらず。人民元は一時7.2629までドル高・元安が進行。その後は7.2580台へと反落。
ロンドン市場は、静かな取引。ドル円は159円台前半から半ばでの揉み合いが続いている。欧州株が軟調に推移しており、ユーロ円は171円台前半から171円台割れへと小安い。ユーロドルも1.07台前半で上値重く推移。一方で、ポンドドルは1.26台後半から1.27付近で底堅く推移。ポンド円は200円台前半から半ばでの揉み合い。ユーロ対ポンドではユーロ売りが優勢。円相場は政府・日銀による介入警戒が上値を抑える一方、基調としての日米金利差が下支えとなっているようだ。この日は日韓財務対話が開催され、声明では自国通貨の下落について「深刻な懸念を共有」、韓国と日本、通貨スワップ協定の強化方法検討へと表明された。しかし、円相場の反応はほとんど見られなかった。月末・四半期末、半期末などで取引が手控えられたほか、ユーロ相場にとっては30日のフランス国民議会選挙待ちのムードが広がっている。
NY市場で、ドル円は再び上昇。159円台後半に上昇し、160円を試す動きとなった。一方、160円に接近すると介入警戒感もあるようで、6月期末を向かえてドル円は159円台での神経質な展開が続いている。ただ、状況に変化はない。日米の金利差がドル円の下値を支えており、FRBの利下げ観測が期待ほど高まらない一方、日銀は正常化に慎重姿勢も垣間見せている。この状態はしばらくは解消しそうにないことから、ドル買い・円売りの需要は根強いようだ。ユーロドルは一j1.06台に下落する場面がみられた。日曜日にフランス総選挙の第1回目の投票が実施され、その行方を確認したい雰囲気も強まっている。ポンドドルはやや売りに押されつつも、1.26台後半でのレンジ取引に終始した。短期金融市場では8月利下げを65%程度織り込んでいる。
(26日)
東京市場は、159円台後半での推移。株高などを受けたリスク選好の動きもあって159.90付近まで上昇。月曜日の高値159.92レベルに迫った。ただ、160円トライには慎重。ユーロドルは1.07台前半での推移。朝からのレンジは1.0702-1.0718。ユーロ円は171円を挟んでの推移。豪月次消費者物価物価指数の上振れを受けて、豪ドルが買われた。対ドルは0.6640台から0.6688近辺まで上昇。豪ドル円も106.20付近から106.90付近まで買われた。
ロンドン市場は、ドル円が160円台に乗せている。東京市場で159円台後半でジリ高となったあと、ロンドン市場でも引き続き水準を上げた。160円台に乗せてからはさらに4月29日高値160.17レベルを上回り、160.39近辺まで上昇。前回の介入水準を上回り、約38年ぶりのドル高・円安水準となった。ロンドン時間に入ってからは米債利回りの上昇とともに、ドル相場全般に強含んでいる。ユーロドルは1.07台割れ、ポンドドルは1.26台後半から半ばへと下落。東京市場で買われた豪ドル/ドルも0.67手前から0.66台半ばへと反落。ドルカナダは1.36台半ばから1.37台に迫る動き。市場ではドル円が160円台に乗せていることで、介入警戒感が広がっているもよう。ただ、値動きがドル全般の上昇であることや、金曜日に注目材料の米PCEデフレータ発表を控えており、介入の実施タイミングや水準についてはさまざまな思惑を呼んでいる。
NY市場では、ドル円が上げ幅を拡大。上値追いが加速し、160.80近辺まで上昇。ポイントとして意識された160円を突破し、財務省が春の大型連休時に介入を実施した160円台前半の水準も突破したことから、ストップを巻き込んで買いが加速したもよう。NY時間に入って神田財務官の発言が伝わり「過度な変動があれば適切な対応取る」と述べていた。「足元の動きは急激」との認識も示していた。ドル円も発言が伝わった瞬間は売りの反応が見られたものの、直ぐに切り返す展開となった。この反応も上げに拍車をかけたのかもしれない。FRBの利下げ開始が遠のく中、ドル指数は昨年11月以来の高値水準に上昇。FRBの長期に渡る高金利の姿勢で、他の主要国との金利差に大きな開きを残しており、ドルは年初来の高値に上昇している。ユーロドルは1.06台に軟化、ポンドドルは1.26台前半に下落。
(27日)
東京市場で、ドル円は反落。前日NY市場終盤には37年半ぶり高値となる160.87近辺まで買われたが、東京市場では反動安。午後には160.31近辺まで下押しされた。日経平均の下落を背景としたリスク警戒の動きや、日本10年債利回りが一時1.08%台まで上昇したことも円買いにつながり、ドル円相場の重しとなった。鈴木財務相は今朝も円安けん制発言をしており、日本政府・日銀による円買い介入への警戒感が広がっている。ユーロ円は午前に171.39近辺まで下落したあと、安値圏揉み合いとなった。ユーロドルはドル売り優勢の中、午後には1.0697近辺まで買われた。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ロンドン序盤にはいったんドル買いが入ったが、次第にドル売り方向に転じてきている。ドル円は東京市場で160.31近辺まで下落したあと、いったん160.60付近まで買い戻されたが、ロンドン時間には160.50割れへと再び軟化している。内閣府関係者が「金融政策を行う上で円相場動向を注視している、円安は物価上昇要因」との内田日銀副総裁発言を伝えたが反応薄だった。明日の米PCEデフレータ発表が注目されるなかで、ドル高に調整が入る形となっている。ユーロドルも1.0680付近から1.07付近で振幅しているが、足元では1.07台乗せと小高い。ポンドドルは1.26台前半で上下動したあと、1.26台半ばへと買われている。米10年債利回りは4.32%台へと小幅低下。クロス円はまちまちの値動きで方向性に欠けている。欧州株や米株先物が上値重く推移しているが、円高方向への値動きは広がっていない。ユーロ円は171円台半ばから後半での揉み合い。ポンド円は202円台半ばから203円台乗せと東京市場での下げを戻している。ポンド関連では、英中銀の週次オペで銀行は過去最高の213億ポンドを調達と報じられた。
NY市場で、ドル円は160円台後半に戻した。今週は160円を一気に抜けたことで、日本の当局からのけん制発言も相次いでいたが、現段階での実弾介入はないと思われているようで、下がったところでは押し目買いが活発に出ていたようだ。きょうは第1四半期の米GDP確報値が公表され、改定値から上方修正されていた。ただ、GDPの7割を占める個人消費が改定値の2.0%から1.5%に大きく下方修正された。エコノミストからは、個人消費の減速は景気にとって不吉な兆候となる可能性があるとの指摘も出ていた。ユーロドルは1.07ドル台に買い戻され、6月中旬以降、何度か試した1.06台の下値水準はサポートされている。ただ、日曜日に第1回目の仏選挙の投票を控える中、上値には慎重。ポンドドルは緩やかに買い戻され、一時1.2670付近まで上昇。英中銀の8月利下げへの期待が根強く、かつFRBの利下げに慎重姿勢が伝わる中で、ポンドドルは6月中旬以降の下向きの流れを継続している。
(28日)
東京市場で、ドル円は一時161円台に乗せた。朝方は160.70付近でスタート。午前には月末要因で仲値にかけて外貨買いフローが持ち込まれ、161円の大台に乗せた。米大統領選のTV討論会ではトランプ前大統領が優勢に論を進めるとドル高となり、161.27近辺に高値を伸ばした。討論会終了後のアンケートでは67%がトランプ氏が討論会で勝利したと回答。また、市場が注目していた財務省人事も公表され、神田財務官が7月末で退任、後任には三村国際局長が就任することが発表された。財務次官、金融庁長官と、財務省次官級3役はすべて交代する。材料一巡となり、昼前には160.80台へと反落。午後には161円を挟んだ揉み合いとなった。ユーロ円は172.38近辺に高値を伸ばし、その後は172円付近で推移。ユーロドルは1.0685-1.0711レンジ。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。東京午前のドル買いを消す動きとなっている。ドル円は161円台を割り込むと、本日の安値を160.40台に更新している。ユーロドルは1.06台後半から1.07台を回復、高値をわずかに広げる動き。ポンドドルは1.26台前半から1.26台後半へと買われ、本日の高値を更新。クロス円はロンドン時間に入るとやや上値重く推移。ユーロ円は172円台割れへ、ポンド円は203円台半ばから前半へと小安い。株式市場は、週末に仏国民議会選挙を控えて仏CAC指数は軟調。仏国債利回りが一段と上昇している。ただ、英独株や米株先物・時間外取引は全般にプラス圏で取引されており、リスク回避の動きは波及していない。米10年債利回りは4.29%付近から4.31%付近での推移。このあとのNY市場で発表される米PCEデフレータの結果を見極めたいとして全体としての方向感はなく、各市場まちまちとなっている。
NY市場でドル円は序盤に戻り売りが強まったものの、ロンドンフィキシングを境に買い戻しが出て、160円台後半まで戻す展開となった。この日は5月のPCEデフレータが発表になったが、前月比で横ばい、前年比で2.6%の上昇となった。FRBが注目する住宅とエネルギーを除くサービスインフレも前月比0.1%の上昇と昨年10月以来の低い伸びとなっている。年後半のFRBの利下げ期待を正当化する内容で、市場では年内2回の利下げ期待を若干強めているようだ。結果を受けてドル円が急上昇するようであれば、財務省による介入も警戒されていたが、そのケースでは無かったようだ。
執筆者 : MINKABU PRESS
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