全体的に小動きの中、ドル円は157円付近での推移=NY為替概況
全体的に小動きの中、ドル円は157円付近での推移=NY為替概況
きょうのNY為替市場、全体的に小動きの中で、ドル円は157円付近での推移。先週末の米雇用統計が予想以上にインフレの粘り強さを示唆す内容となったことで、ドル円も157円台を回復。本日は上げが一服していたものの、底堅い値動きが続いている。
市場は今週の米消費者物価指数(CPI)とFOMCの結果発表待ちの雰囲気が強まっている。投資家はそれらのイベントを分析し、利下げのタイミングとペースについて何らかのヒントを得ようとしている。
一部からは「先週の米雇用統計は雇用の粘り強さを示し、FRBはタカ派スタンスに転じると考えられるが、下半期の利下げの可能性を排除することはない。基本シナリオは9月と12月の2回の利下げで、2番目に可能性が高いのは1回の利下げだ」と指摘し、FOMC委員の金利見通し(ドットプロット)およびパウエル議長の会見は、予想ほどタカ派的でないかもしれないとの声も聞かれる。
本日はユーロの下落が目立ち、ユーロドルは一時1.07ドル台前半に下落したほか、対円、ポンドでもユーロは下落していた。週末の欧州議会選挙でフランスとドイツの与党が敗北を喫したことで、EU内の政治不安がユーロを圧迫。
選挙ではフォンデアライエン欧州委員長が率いる中道右派が過半数を確保する見通しとなり、特にフランスでは極右政党の大勝が見込まれ、マクロン仏大統領が議会下院を解散し総選挙実施の意向を示した。
先週末の強い米雇用統計でユーロドルは戻り売りが強まっていたが、本日はその動きを加速させ、200日線を一気に割り込んでいる。早期にその水準を回復できないようであれば、4月中旬からのリバウンド相場に黄色信号が点灯する。
ポンドドルはNY時間に入って買い戻しの動きが見られ、1.27ドル台に戻した。本日は欧州議会選挙の結果を受けたユーロ下落にポンドも対ドルで連れ安の動きが見られ、一時1.26ドル台に下落していた。21日線を一時下回っていたが、NY時間の買戻しでその水準は維持されている。
明日は2-4月の英雇用統計が発表される。ILO失業率は3カ月平均で4.3%と前回と変わらずの水準が見込まれている。そして注目の週平均賃金(除く賞与)も前年比6.1%と前回から若干の伸び拡大が見込まれており、予想通りであれば、インフレ鈍化を裏付ける内容とはなりそうにない。
来週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が予定されており、据え置きが確実視されている。短期金融市場では9月か11月の利下げを織り込んでいるが、9月までなら65%程度の確率、11月までなら完全織り込みといった状況。ECBは先週の理事会で利下げを開始したが、追加利下げには慎重姿勢を示している。FRBも利下げ開始に慎重なことが予想される中で、英中銀の動向も注目される。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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