強い米雇用統計もドル高の反応は一時的 ドル円は151円台での推移を継続=NY為替概況
強い米雇用統計もドル高の反応は一時的 ドル円は151円台での推移を継続=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前半はドル買いが優勢となったものの、後半には戻している。ドル円については、ドルと円が同方向に動いたことから大きな値動きもなく、151円台での上下動を続けている。朝方発表になった3月の米雇用統計が予想以上に力強い米労働市場を示したことでドルが買われた。
非農業部門雇用者数(NFP)は30.3万増と約1年ぶりの増加となり、予想も大きく上回った。失業率も3.8%に低下。一方、インフレに絡んで最近注目を集めている平均時給は予想通りに前年比4.1%と、緩やかながらも鈍化傾向を継続していた。
全体的にFRBの早期利下げへの説得力には乏しい内容で、市場は利下げ期待を更に後退させている。FRBも利下げを急ぐ必要はないとの見解を変えることはなさそうだ。
ただ、米雇用統計を受けたドル高は続かず、後半には戻している。前日は米株式市場が急落し、リスク回避のドル買いが強まっていたが、本日は強い米雇用統計でFRBの利下げ期待がさらに後退しているにもかかわらず、米株式市場がしっかりと推移していたことで安心感が広がったのかもしれない。
ドル円は引き続き152円台を試しに行くか注目されるところではあるが、財務省の介入への警戒感も根強く、その水準にはなお慎重なようだ。
ユーロドルは一旦1.07ドル台に下落する場面もあったものの、動きが一巡すると買い戻しが見られた。ユーロに関しては来週のECB理事会が注目となる。一部のストラテジストからは、来週の理事会で初めてECBが利下げについて積極的に議論する可能性があり、6月の利下げに向けた議論を活発化させるとの見方が出ている。なお、短期金融市場では、ECBが6月に0.25%ポイントの利下げを完全に織り込んでおり、4月に利下げを実施する確率は9%程度に留まっている状況。
ポンドドルも下に往って来いの展開となり、米雇用統計を受けた序盤の下げを後半に取り戻している。一時1.2575ドル付近まで下落し、200日線を下回る場面も見られていたが、その水準はサポートされた格好。
一部からは4月17日に発表される3月の英消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化が確認されれば、英中銀は5月か6月に利下げを開始する可能性があるとの見方も出ている。3月の予算で財政出動が少なかったことから、英中銀が利下げサイクルを開始するには、次回のインフレ報告で十分な証拠が得られると考えられるという。また、4月にも英CPIが低下すれば、年内の利下げ期待はさらに高まるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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