FX/為替「ドル/円、149円台回復 日銀利上げ後の円安リスクを警戒」 外為どっとコム トゥデイ 2024年3月18日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年3月18日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼15日(金)の為替相場
(1):春闘集計結果を受けて一時円買い
(2):ECB 利下げ議論開始
(3):日銀観測報道に反応なし
(4):ミシガン大消費者信頼感は予想を下回る
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:堅調地合いを維持する見通し/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
15日(金)の為替相場
期間:15日(金)午前6時10分~16日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):春闘集計結果を受けて一時円買い
連合による春闘の第1次集計で平均賃上げ率が33年ぶり高水準の5%超になったことが伝わると、日銀が翌週にもマイナス金利の解除に動くとの観測が強まった。これを受けて一時円買いが優勢となったが、一巡後は一転して「材料出尽くし」との見方から円売りに傾いた。
(2):ECB 利下げ議論開始
フィンランド中銀のレーン総裁は、欧州中銀(ECB)が先週、利下げ時期について議論を開始したことを明らかにし「インフレ率の低下が続き、われわれの予想に沿って目標に向けて持続的に低下すれば、夏近くにはもう、ゆっくりと金融政策のブレーキペダルから足を緩め始めることができる」と述べた。
(3):日銀観測報道に反応なし
共同通信は「日銀、来週会合でマイナス金利解除を決定する見通し」と報じたが、円相場に特段の反応は見られなかった。その後、日本経済新聞も「日銀は18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになった」と同様の内容を報じた。
(4):ミシガン大消費者信頼感は予想を下回る
米3月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は76.5と市場予想(77.1)を下回った。消費者の1年先の期待インフレ率は3.0%で前月から横ばい。市場予想は3.1%だった。5-10年先の期待インフレ率は2.9%となった(予想、前回ともに2.9%)。これより前に発表された米2月鉱工業生産は前月比+0.1%と市場予想(±0.0%)をやや上回った。
15日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:堅調地合いを維持する見通し
15日のドル/円は149円台を回復。連合による春闘の回答集計で賃上げ率が33年ぶりの5%台になったことが伝わると、日銀が翌週にもマイナス金利を解除するとの観測が高まり148.03円前後まで下落したが、円買いの動きは一時的だった。海外市場では米長期金利の上昇を背景にドル買い・円売りが優勢となり149.17円前後まで反発した。
なお、日本経済新聞は「日銀は18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになった」と報じたが、市場は春闘の回答によって解除の織り込みを終えていた模様で円買いの反応は見られなかった。日経新聞はまた、週末に「日銀はマイナス金利政策の解除後も、利回りを指定して無制限に国債を買い入れる『指値オペ』を継続する方針」とも報じた。日銀のマイナス金利解除は「ハト派的な利上げ」になる公算が大きく、仮に明日19日に解除が決定しても円高を誘発する可能性は低そうだ。むしろ、材料出尽くしによる円売りが活発化するリスクを警戒すべきだろう。ドル/円は本日も堅調地合いを維持する見通しだ。
注目の経済指標:中国小売売上高
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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