ドル円は148円台に一気に戻す 米雇用統計が想定外に強い内容=NY為替概況
ドル円は148円台に一気に戻す 米雇用統計が想定外に強い内容=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが強まり148円台半ばまで一時上昇した。きょうの上げで100日線を回復し、上値追いの流れに復帰しそうな気配が出ている。148円台後半の水準に売り圧力が観測されているが、それを突破できれば、再び150円を試しそうだ。
この日の米雇用統計が想定外に強い内容となったことで、米国債利回りの急伸とともにドル高が強まった。非農業部門雇用者数(NFP)は35.3万人増と予想を大きく上回る伸びとなったほか、前回値も大幅に上方修正されている。また、失業率も3.7%の低水準にあるほか、平均時給も予想以上の伸びとなった。
短期金融市場では、早期利下げ期待が後退し、3月は80%以上の確率で据え置きを織り込んでいる。また、今週のパウエル議長の会見を受けて、利上げ開始予想の中心となった5月も利下げ確率を73%に低下させた。前日までは90%以上の確率を織り込んでいた。
今週のドル円は下値警戒感を強め、一時145円台に下落していたが、米雇用統計を受けて、流れは一気に上向きに途転しており、来週以降の動きが注目される。
ユーロドルは1.07ドル台に下落。きょうの下げで200日線を再び下抜け、100日線に顔合わせししている。ただ、1.07ドル台に入ると買い圧力も強まるようだ。
今年のユーロドルは1.05-1.11ドルの狭いレンジに留まる可能性が高いとの指摘が出ている。FRBよりもECBの利下げのほうが若干拡大し、ユーロ圏の成長が米国よりも大幅に低い見通しを割り引いていても、最近のユーロドルはレンジ内に留まっている。ユーロドルを本格的に揺るがすのであれば、予想が大きく変化する必要があるという。
ポンドドルは1.26ドル台前半まで一気に下落。米雇用統計前までは1.27ドル台半ばで推移していた。1.26ドル付近は今年に入って強い下値サポートとして意識されており、その水準を下にブレイクして、来週以降200日線が控える1.25ドル台を試しに行くか注目される。
一部から、英大型減税が英中銀の利下げ開始を遅らせる可能性が指摘されている。3月6日にハント英財務相が春季予算案で大幅減税を表明すれば、それは英中銀のインフレ抑制策を複雑にし、利下げが8月まで延期される可能性があるという。「大型減税は利下げサイクル開始を遅らせるか、あるいは会合ごとの利下げではなく、四半期ごとの利下げにペースを落とす可能性がある」と述べている。また、減税規模が不透明なことも、英中銀の利下げ時期の曖昧さを正当化する可能性があるとも指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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