中東情勢への警戒からドル高が強まる トランプ発言で戦闘が長期化への懸念も=NY為替概況
中東情勢への警戒からドル高が強まる トランプ発言で戦闘が長期化への懸念も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、本日も中東情勢への警戒感からリスク回避の雰囲気が広がり、原油高・株安・利回り上昇の中、ドル高が強まった。トランプ大統領が対イラン戦争で「必要なことは何でもする」と表明したことで、市場では戦闘が長期化するのではとの懸念も強まっていた。
また、原油相場も77ドル台まで一時急騰する中、インフレ再燃への警戒感も広がっている。FRBの利下げ期待が後退し、短期金融市場では年内2回の利下げ期待を織り込めておらず、そのこともドルを下支えしていた模様。
ドル円は一時157円台後半まで上昇し、2月に上値を拒まれた158円の水準に接近。158円台を試しに行くか注目されたが、本日は試すことなく上値を抑えられていた。158円を突破できれば、テクニカル的に160円が一気に視野に入るとの指摘も出ている。ただ、円安が強まっている訳ではなく、ユーロ円やポンド円といったクロス円は下落しており、日本の当局も介入はしづらい状況ではある。
現在、市場にとって唯一のファンダメンタルズは中東情勢だとの指摘が出ていた。戦時下特有の「戦争の霧」により、有意な見通しを得ることは極めて難しい。イラン指導部を狙った斬首作戦を受け、出口戦略や短期的な緊張緩和を想定するのは困難で、不確実性は極めて高いという。その分、経済指標の重要性が薄れており、こうした状況下では規律あるリスク管理を徹底することが最善かもしれないとも付け加えていた。
ユーロドルは売りが加速し、一時1.1530ドル付近まで急落。200日線を一気に下抜けているが、200日線を下回るのは約1年ぶり。1.1650ドルをブレイクしたことで、機関投資家が最近積み上げていたユーロロングを一気に縮小させているとの声も市場から聞かれた。
オプション市場でも1週間物のボラティリティが2月2日以来の高水準となるなど不透明感が示される中、ユーロ下落に備える動きが再び高まっていると指摘。地政学リスクの再燃が投資家心理を圧迫する中、ユーロ安に対する保険コストが約9カ月ぶりの高水準に跳ね上がっているという。
半面、足元の動きの速さは、危機対応を急いでいるというよりも、急激な調整の範囲に留まっているとも指摘している。過去に大きく再評価された局面、パンデミック、ウクライナ侵攻、米国とフランスの選挙、英EU離脱の国民投票などでも保険需要が広範に高まっていたが、現時点ではそこまでの大きな流れの転換に備えた動きというよりも、ポジション調整を余儀なくされている状態にまだ近いという。
ポンドドルは下値模索が続き、本日は一時1.32ドル台半ばまで下げ幅を拡大。100日線から下放れる展開が続き下値警戒感が高まっている。中東情勢に関心が集中する中で反応は限定的だったものの、本日はリーブス英財務相が春季財政報告を公表し、財政余地が拡大するとの見通しを示した。
予想以上ではあったものの、英国は来年度の国債発行額を3年ぶりの低水準に引き下げる。4月開始の26会計年度に2521億ポンドの国債を発行。予想をやや上回ったものの現行年度の3037億ポンドを大きく下回り、財政状況の改善を反映した。
ただし、中東情勢の影響を織り込む前の段階でも26年の成長が弱含むと警告。エコノミストは「リーブス財務相は波風の立たない内容を望み、市場もその通り受け止めた。発行額や長期債の比率はやや高いが、利回りを左右するほどではない」と述べていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。