ドル円は激しく上下動 パウエル議長は3月利下げを完全に否定=NY為替概況
ドル円は激しく上下動 パウエル議長は3月利下げを完全に否定=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は激しく上下動した。序盤はドル売りが強まり、ドル円は146円ちょうど付近に急落していた。この日の1月のADP雇用統計や雇用コスト指数が米労働市場の冷え込みを示唆したことをきかっけにドル売りが強まった。FRBの金融政策に敏感な2年債利回りが急低下していたこともドル売りを強めた模様。ただ、本日は月末ということもあり、それに絡んだ動きが中心だったとも思われる。
しかし、終盤になってドルは急速に買い戻され、ドル円は一時147円台半ばまで急速に買い戻された。パウエルFRB議長がFOMC後の会見で「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」と言及したことに敏感に反応した模様。
この発言を受けて短期金融市場では3月利下げの確率を37%程度まで低下させている。本日は労働市場の軟化を示す雇用指標が発表され、3月利下げの確率は一時60%程度まで戻していた。
パウエル議長は量的引締め(QT)のペースについて3月FOMCで踏み込んだ協議を開始とも述べており、ある程度想定された内容ではあったが、議長が3月利下げを完全に否定したのはショックが大きかったようだ。
ユーロドルは一時1.07ドル台に下落。序盤は目先のポイントとして意識されている1.0850ドルを上回る動きを見せていたが、その水準を超えると戻り売りも活発に出るようだ。本日の200日線が1.08ドル台半ばに来ているが、退けられている。ユーロドルがより説得力のある上昇を見せ、売り圧力を食い止めるには、1.09ドル台前半を突破する必要があるとの指摘も出ていた。
ECBの早期利下げ開始期待が市場で高まっており、ユーロの上値を圧迫。4月と6月で意見が分かれているようだが、短期金融市場では4月までの0.25%の利下げと6月の0.25%の追加利下げを完全に織り込む動きが出ている。一方、ECB理事は年内の利下げ開始には賛同しているものの、時期については慎重に見ているようだ。
ポンドドルは1.26ドル台に下落。為替市場はドル高のムードが広がっているが、その雰囲気の中でもポンドは他の通貨に比べれば、底堅さを見せている。明日は英中銀金融政策委員会(MPC)の結果発表が予定されているが、ポンド高への期待も根強くあるようだ。
英中銀は他の中銀よりも利下げに消極的と見られている中で、ポンドドルは1.30ドルまでの上昇を予想する投資家も増えているという。年初来高値の1.2825ドルと200週移動平均の1.2850ドルを上回れば、勢いはさらに加速する可能性があるとしている。ただ、本日の値動きを見た限りでは可能性はまだ低そうだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。