ドル円は142円台に急落 FOMCはハト派サプライズ=NY為替概況
ドル円は142円台に急落 FOMCはハト派サプライズ=NY為替概況
きょうのNY為替市場、午後に発表になったFOMCの結果を受けてドル売りが強まり、ドル円は142円台に急落した。FOMCはハト派サプライズとなった。政策金利は予想通りに据え置かれたが、FOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)で、来年末時点の金利予想の中央値が4.625%(4.50-4.75%示唆)となっており、これは現行から計0.75%の利下げを見込んでいる。
そこまでの利下げ予想は市場も想定していなかったであろう。また、声明でも、これまでの「必要なら追加利上げ実施」のところを「その度合いを精査する」に変えている。FRBはスタンスを市場の期待に傾け、本日のFOMCはハト派サプライズとなった印象が強い。その後のパウエル議長の会見でも「勝利宣言は時期尚早」と述べる一方で、利下げのタイミングを協議したことも明らかにしていた。
短期金融市場では調子に乗って、来年の利下げ幅を計1.50%近くまで織り込む動きが出ている。FOMC前までは1.00%の織り込みで、エコノミストからは行き過ぎと批判されていたが、さらに期待を膨らませた格好。米国債市場でも政策金利に敏感な2年債が一時0.3%ポイント急低下する場面が見られた。
ドル円は下向きの流れ継続がさらに鮮明になり、先週の日銀の発言で急落した時の141円台を再度試しそうな気配も強まっている。
一方、ユーロドルは一時1.09ドル近くまで上昇。明日はECB理事会が開催されるが、政策は据え置きが確実視されている。ただ、声明やラガルド総裁の会見では市場が期待しているような利下げについては時期尚早と否定してくるものと見られている。しかし、本日のFOMCを受けてECBもハト派に転じる可能性も警戒されているようだ。短期金融市場では4月の利下げ開始を完全に織り込んでいる状況。3月開始も55%程度の確率で見ている。
ポンドドルも午後に買い戻しが強まり、1.26ドル台に急速に戻した。一時1.25ドル割れを試す展開が見られていた。この日発表の10月の月次GDPが予想外の弱さで、市場では英中銀の早期利下げ観測が再燃している。10月の月次GDPが前月比で0.3%のマイナス成長と予想よりもマイナス幅が拡大。
明日は英中銀も政策委員会(MPC)の結果を発表するが、金利を据え置きが確実視されている。しかし、景気低迷に関するコメントには細心の注意を払うべきとの指摘も出ていた一方、英中銀のダイヤルは動かないとの見方も出ており、利下げを示唆することはないという。
GDPのマイナスは広範囲に及んだが、第4四半期の残りの期間は、消費者向け部門がけん引する形で活動が回復し、第4四半期のGDPは第3四半期から横ばいが予想されるという。11月のPMIが7月以来初めて、僅かではあるが50を超えたことを含め、最近の企業活動のデータが改善していることは、より全般的な改善を示唆しているという。今回も利上げを主張する委員が出るか注目される。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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