ドル円に突然売りが強まる 介入の憶測も真偽のほどは不明=NY為替概況
ドル円に突然売りが強まる 介入の憶測も真偽のほどは不明=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は突然急速に売りが強まり、151円台後半から一時151.20円近辺まで短時間に急落する場面が見られた。市場の一部では介入の憶測も流れていたが、市場の自発的な動きとの見方も出ており、151.60円付近まで戻す展開となった。介入については真偽のほどは不明。
一部からは、「日本の当局のコメントを額面通りに受け取るなら、介入を誘発する水準にはまだ近づいていない」との指摘も出ている。介入のきっかけがドル円の水準ではなく、あくまでそのペースにあるとすれば、介入を促すにはまだ距離がある。この2週間のドル円の上昇は1.5%程度で、これはどう考えても無秩序ではなく、昨年に介入を促した急激な動きよりもかなり低いという。
先週のパウエルFRB議長の討論会で市場には若干タカ派的なトーンが広がったものの、米10年債利回りを5%に押し上げるには至らなかった。議長は追加利上げの可能性は残したものの、市場はその期待をさほど高めてはおらず、短期金融市場では12月利上げの確率は15%程度で織り込むに留まっている。来年に関しても1月に30%弱の確率で利上げを織り込んでいる程度で、その先は利下げの可能性を台頭させている状況。
米株式市場が上昇するなど市場の雰囲気も改善され、リスク選好の円安がドル円の下値を引き続きサポートしているようだ。
ユーロドルはNY時間に入って買い戻しも見られ、1.07ドルちょうど付近まで回復。全体的には方向感のない展開が続いているが、21日線の上はしっかりと維持しており、リバウンド相場は継続している模様。
きょうはデギンドスECB副総裁のコメントが伝わっていたが、一時的にインフレ加速の恐れがあると警戒感を示した。ただ一方で、全体的な流れは減速方向だとも述べている。ユーロ圏の景気はしばらく低調に推移するだろうが、その後再び強まるとの見方を示した上で、労働市場が弱まり始めている兆候があるとも指摘した。
昨年秋のエネルギーと食料品の価格急騰に伴う前年のベース効果が徐々に剥げ落ちることが見込まれる中で、今後数カ月間のインフレは前年比で一時的な上昇が予想されるという。しかし、中期的にはディスインフレの過程が続くとも述べた。
ポンドドルも買い戻しが続き、1.22ドル台後半まで戻している。本日の21日線が1.2205ドル付近に来ているが、きょうの上げでその水準がサポートされた格好となっている。
来年の英経済は景気後退に陥る可能性が高まっているが、第4四半期から来年の第2四半期にかけて0.3%のマイナス成長に陥る可能性があるとの見方も出ている。先週金曜日に発表の最新の英GDPで第3四半期の成長は横ばいだった。
焦点は今週発表の英消費者物価指数(CPI)と英雇用指標に移る。サービス業のインフレが英中銀の予想を大幅に下回ることから、データは英中銀による利上げ停止の継続を支持すると見られているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。