ドル円が急速に売られ一時148円台に下落 YCC再修正を議論と伝わる=NY為替概況
ドル円が急速に売られ一時148円台に下落 YCC再修正を議論と伝わる=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は急速に売られ、一時148円台に下落した。日銀が明日開催の決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の再修正を議論すると伝わった。現在1%としている長期金利の事実上の上限を柔軟にし、一定程度1%を超える金利上昇を容認する案が有力だという。米金利上昇を背景に日本の長期金利は1%に迫っている。日銀が金利を抑えつけることで、市場機能のゆがみが膨らむ事態を避ける狙いがある。また、連続指し値オペの運用などを改めることを検討するという。
明日の日銀決定会合で展望レポートはインフレ見通しの上方修正が確実視されていたが、YCCについては見方が分かれていた。
ただ、市場の一部からは、報道通りに日銀がYCCを再修正したとしても、一時的な反応に留まり、ドル円は底堅い推移が続くとの見方も出ている。円には引き続き逆風が吹き付けるという。日銀が1%前後まで10年債利回りの上昇を容認したとしても、米10年債利回りは日本国債に比べ3.89%ポイントほど高い。過去5年間の平均が約2%ポイントだったことを考えると、依然として魅力的なスプレッドだと指摘している。
ユーロドルは買い戻しが膨らみ、1.06ドル台を回復。本日の上げで21日線がサポートされており、リバウンド相場の可能性をかろうじて残した格好となっている。本日はドイツの10月の消費者物価指数の速報値が発表になっていた。前年比3.0%と2021年6月以来の低い伸びとなった。予想も下回っている。
ECBは先週の理事会で急ピッチな利上げが影響を表し始めたとの認識を示していた。ラガルド総裁は追加利上げの可能性を残してはいたが、市場ではECBの利上げはすでに終了し、次の行動は利下げとの見方を強めている。本日のドイツCPIはその見方を裏付ける内容ではある。
*ドイツ講和消費者物価指数(速報)(HICP)(10月)22:00
結果 -0.2%
予想 0.1% 前回 0.2%(前月比)
結果 3.0%
予想 3.2% 前回 4.3%(前年比)
ポンドドルは1.21ドル台半ばまで買い戻された。本日の21日線が1.2175ドル付近に来ており、目先はその水準まで回復できるか注目される。
今週は英中銀金融政策委員会(MPC)も予定されている。据え置きがほぼ確実視されているが、市場からはそのイベントを受けてポンドはさらに下落する可能性があるとの指摘も聞かれた。
MPCでは委員が英経済指標の悪化を認め、利下げが市場の予想よりも早く開始される可能性を示唆する可能性が高いという。現在、市場が織り込んでいる利下げ回数が増える可能性を持っているとしている。短期金融市場では現在、2024年9月までの0.25%ポイントの利下げを織り込んでいるが、それは保守的過ぎるように見え、慎重な声明が発表されれば、金利設定が調整され、それと伴にポンドもさらに下振れる可能性があるとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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