ドル円は上値追いが続く 11月以来の高値を一時更新 147円台後半=NY為替概況
ドル円は上値追いが続く 11月以来の高値を一時更新 147円台後半=NY為替概況
きょうもドル円は上値追いの動きが続き、147円台後半まで上昇。一時147.95円付近まで上昇し、昨年11月以来の高値を一時更新した。上値に慎重な雰囲気はあるものの、着々と150円に向かっているようだ。財務省による為替介入も警戒されそうだが、このスピードであれば介入はないとの声も聞かれる。
植田総裁が新聞紙上で語ったことと、市場の解釈に食い違いがあると伝わっていた。総裁は読売新聞のインタビューで「年末までに賃金とインフレの好循環を見極めるのに十分なデータが得られる可能性はゼロではない」と語っていた。市場は年内のマイナス金利終了の可能性を意識し、円買いの反応を見せていたが、植田総裁の発言は政策的なシグナルというよりは一般的な発言であったという。
ユーロドルは下げを一服させているものの上値は重く、1.06ドル台での推移が続いた。ECBは前日の理事会で0.25%ポイントの利上げを実施し、中銀預金金利を4.00%に引き上げた。ただ、ユーロは逆にネガティブな反応を見せている。ECBは成長見通しを23年から25年まで全て下方修正したことで、ECBは景気に軸足を移し始めたのではとの雰囲気が市場に広まった。
ECB理事会を受けて市場では、来年の利下げ観測が広まっており、短期金融市場では来年に計0.75%ポイントの利上げを織り込む動きが出ている。一部には1.00%ポイントとの声も出ているようだ。
ただ、ラガルドECB総裁は「理事会で利下げの検討はされていない」と強調しており、再び市場とECBの見解の違いが浮き彫りになっている。市場では、ECBの利上げの影響でユーロ圏経済は今年もこの先も低迷が続くとの見方が広がっており、ECBの利上げが逆に将来の利下げ見通しに繋がるという皮肉な状況になっている。
ポンドドルはきょうも上値の重い展開が続き、1.23ドル台まで下げ幅を拡大し、200日線の下での推移となった。今週の英雇用統計で労働市場の緩みが確認され、月次GDPは前月比で予想以上のマイナス成長となっていた。英住宅市場の低迷も伝わる中で、ポンドは売りが強まっている。
来週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が開催される。市場では80%の確率で利上げを見込んでおり、その可能性が高い。また、今回の利上げが最後になるという明確なシグナルも期待できそうにはない。その前日に英消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、英中銀が安心できるような内容にはならないと見られている。
しかし、雇用市場が緩和し、景気後退の足音が聞こえている中で、市場が利上げサイクルの終了の可能性を意識するのは明からだ。市場では来週のほかに、あと1回の利上げの可能性を40%程度で織り込んでいる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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