日米の利回り格差拡大への期待からドル円は上値追いが続く=NY為替概況
日米の利回り格差拡大への期待からドル円は上値追いが続く=NY為替概況
きょうのドル円は利益確定売りが出て、一時145円台前半に下落する場面が見られたものの、その後は下げ渋る動きが出て145円台半ばに戻している。きょうは一時145円台後半まで上昇するなど、ドル円は上値追いの動きを加速させているが、その流れが続いているようだ。
先週からのインフレ指標や米国債の過剰供給の問題もあり、ここに来て米国債利回りが上昇しており、実質利回りも2009年以来の水準に上昇。ドルを押し上げている。一方で、日銀はイールドカーブコントロール(YCC)の変動許容範囲は拡大させているものの、緩和姿勢は強調しており、10年物日本国債の利回りも0.6%台の上げに留まっている状況。日米の利回り格差拡大への期待からドル円は上値追いの動きを継続している。
一部からは、財務省による介入が警戒されているようだが、現段階では実弾はなく、口先介入に留まるとの見方から、さほど意識されていないようだ。
きょうのユーロドルは一時1.08ドル台に下落する場面が見られたものの、直ぐに買い戻しが入り、1.09ドル台に戻していたものの、100日線の下での推移を続けており、上値の重い雰囲気に変化はない。
本日はドイツのZEW景気指数が発表になり、予想を上回る内容となっていたが、一部からはドイツ経済の弱含みを示唆する内容だとの指摘も出ている。
ZEW景気指数の期待指数は予想ほど悪化せず、ここ数カ月は安定を見せている。しかし、現況指数はドイツの景気後退への懸念を反映し、新たな落ち込みを見せている状況。ドイツの経済見通しは今後数カ月間、株式やその他のリスク資産が圧力を受ける中で、再び弱くなる可能性がありそうだという。
*ドイツZEW景況感指数(8月)18:00
期待指数
結果 -12.3
予想 -15.0 前回 -14.7
現況指数
結果 -71.3
予想 -63.0 前回 -59.5
きょうのポンドドルはNY時間に入って買い戻しの動きが優勢となっており、1.27ドル台半ばに戻している。前日は一時1.26ドル台前半まで下落し、100日線に顔合わせしていたが、きょうは反発しており、100日線でサポートされた格好となっている。
ロンドン時間に英雇用統計が発表になっていたが、英中銀の9月利上げに更に確実性を与えたようだ。4-6月の英ILO失業率の平均値は4.2%と予想を上回り、労働市場の冷え込みを示した一方、週平均賃金(除く賞与)の伸びが前年比7.8%と予想を上回り過去最高の伸びを記録した。
これを受けて短期金融市場では、9月の英中銀金融政策委員会(MPC)での0.25%の利上げを100%織り込んでいるほか、20%程度の確率で0.50%ポイントの利上げの可能性も織り込み始めている。
英労働市場は冷え込みの兆しが示されているにもかかわらず、賃金の伸びは依然として高いことが示されている。ただ、一部からは、今後、賃金の伸びが大幅に鈍化しなかったとしても、英中銀は11月に利上げサイクルを一時停止する可能性があると指摘している。明日は英消費者物価指数(CPI)が発表になるが、こちらは前回から伸びが鈍化することが見込まれている。
英ILO失業率(4-6月平均)15:00
結果 4.2%
予想 4.0% 前回 4.0%
週平均賃金(賞与除く)
結果 7.8%
予想 7.4% 前回 7.5%(7.3%から修正)(前年比)
英消費者物価指数(7月)16日15:00
予想 -0.4% 前回 0.1%(前月比)
予想 6.7% 前回 7.9%(前年比)
予想 6.7% 前回 6.9%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。