ドル円は145円台半ば 実質利回りが09年以来の高水準に上昇しドル買い強まる=NY為替概況
ドル円は145円台半ば 実質利回りが09年以来の高水準に上昇しドル買い強まる=NY為替概況
きょうの為替市場はNY時間に入ってドル買いが強まり、ドル円は145円台半ばまで上昇。先週の米インフレ指標を通過して、米国債利回りが再び上昇しており、ドル円は日米の金利差を意識した買いが活発化している。145円台に入ると利益確定売りも出るようだが、吸収しているようだ。
米国債市場では10年物のインフレ調整後の実質利回りを示す10年物インフレ連動債の利回りが1.82%まで上昇し、2009年以来の高水準に接近した。きょうは人民元やルーブルに対してドルが上昇しているほか、アルゼンチンペソの切り下げもフォローとなった模様。
ファンド勢はドルショートの縮小を続けていると見られており、オプション市場でも、投資家は3月下旬以降で最もドルに強気になっている。
FRBの利上げサイクルは終了に接近していると見られているものの、雇用を始め、足元の経済が底堅く推移している中、FRBは高水準の政策金利を市場の予想以上に長期に渡って継続するのではとの見方がドルをサポートしているようだ。
ユーロドルは1.08ドル台に一時下落する場面が見られ、一時100日線を割り込む場面が見られた。ただ、その後は買い戻しも見られ、現在は100日線付近での推移となっている。本日の100日線は1.0930ドル付近。
景気後退への懸念が出ている半面、インフレ圧力が徐々に緩和されるとの予想から、市場では、ECBは9月の理事会で金利を据え置くと予想されている。実際、理事会ではハト派とタカ派の間での妥協が成立すると見られているようだ。
この場合、追加利上げは見送られるものの、その代わりに国債購入プログラムを調整することで金融刺激策を縮小することになる可能性があるという。1つの選択肢としては、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)のフォワードガイダンスの期間を短縮することだという。ECBは現在、PEPPで購入した満期国債の元本の支払いを少なくとも2024年末まで再投資する方針を示している。
ポンドドルは1.2615ドル付近まで一時下落する場面が見られ、100日線に顔合わせしている。
今週は重要な英経済指標が目白押しで、最注目は16日水曜日の英消費者物価指数(CPI)だが、それに先立ち、明日は英雇用統計が発表される。その中でも賃金上昇率は要注目となりそうだ。
英経済の構造的問題や労働者不足と闘う中で、賃金がインフレに転嫁される可能性は重要。とはいえ、英CPIの総合指数はエネルギー価格のさらなる下落により、今回は大幅低下が予想されている。一方、コアインフレは僅かの低下に留まり、依然として目標の2%を大きく上回ることが見込まれているようだ。
一部からは、英政府が今後、エネルギー価格の上限を更に引き下げれば、消費者の実質的な可処分所得は増え、住宅ローンを支払う人にとっては歓迎すべきことになる。CPIの総合指数も低下が期待されるが、それはコアインフレに第2ラウンドの圧力をもたらす可能性も一方であるとの指摘も出ている。
英政府は8月25日に10-12月の適用価格上限を発表する予定。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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