米PPIを受けドル買い強まる ドル円は一時145円を付ける=NY為替概況
米PPIを受けドル買い強まる ドル円は一時145円を付ける=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米生産者物価指数(PPI)が全体的に予想を上回る内容となったことから、為替市場はドル買いの動きが優勢となった。
ドル円はアジア時間に144円台後半に上昇した後、ロンドン市場に入って144円台半ばに伸び悩んでいた。しかし、米PPIを受けて再び144円台後半に戻し、一時145円を付ける場面が見られた。
この日の米PPIは、前日の米消費者物価指数(CPI)とは逆にFRBの利上げサイクルの停止期待を後退させている。9月FOMCでの据え置きはなお濃厚なものの、年内にあと1回の追加利上げの可能性は残されている状況。また、前日の米CPIは2カ月連続でインフレ鈍化を示唆したものの、原油や天然ガスの最近の上昇を考慮に入れていない数字でもあり、市場では高インフレの粘着性への懸念がなお消えないようだ。
ユーロドルは1.09ドル台半ばに下落。前日は一時1.1065ドル付近まで買い戻され、21日線に顔合わせしていたが、上値を拒まれている。
1.1050ドルを突破できれば、1.12ドルを再び試す展開も期待できたが、そうはなっていない。逆に強い下値サポートとなっている100日線が本日は1.0930ドル付近に来ており、試しに行くか注目される。
このところECB理事からハト派な発言が相次ぎ、市場でも追加利上げへの期待は緩んでいるが、完全に後退したわけではない。短期金融市場では9月利上げの可能性を40%程度で織り込んでいるほか、年内にあと1回の利上げであれば、70%程度で織り込む動き。
一部からは、最近のECB理事のハト派な発言は追加利上げに疑問を投げかけているが、賃金の伸びとコアインフレの上昇がタカ派を後押しする可能性があるとの指摘も出ている。コアインフレが大幅に低下するのは9月の理事会以降で、9月利上げの可能性は十分に残っているという。
ポンドドルも戻り売りに押され、再び1.26ドル台に下落する動き。ロンドン時間に第2四半期の英GDP速報値が発表になっていたが、前期比0.2%上昇と予想外の上昇となっていた。予想は0.0%だった。
要因は6月の月次GDPが予想以上に伸びたことにあり、前月比で0.5%上昇していた。5月がチャールズ国王の戴冠式が行われたことから、6月の労働日数が5月よりも増え、特に製造業と建設業の生産高がそれぞれ2.4%と1.6%増加していた。
特殊要因によって押し上げられた面もあり、利上げの影響もまだほとんど出ていないことから、エコノミストの間では、第3四半期以降は恐らく穏やかな景気後退に向かう可能性が指摘されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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