ドル円は上値追いの流れが続き、141円台後半に上昇=NY為替概況
ドル円は上値追いの流れが続き、141円台後半に上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は上値追いの流れが継続しており、141円台後半に上昇している。本日は日銀決定会合が行われたが、大方の予想通りに金融政策は据え置きとなった。植田総裁が会見で、消費者物価は年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくとし、粘り強く金融緩和を継続する方針を示したこともあり、円相場は円安の反応が見られている。
FOMCやECB理事会、日銀決定会合などの重要イベントを通過したが、想定以上に底堅い労働市場や高インフレが粘着していることもあり、他国の中央銀行は予想以上にタカ派色を強調していたが、日銀はそれとは逆の動きをしている。そのことから円は売られやすくなっており、ドル円も上値追いの動きを強めている模様。
しかし、昨年のように150円を目指す展開になると見ている向きは少ない。FRBはもう1、2回の利上げを実施するかもしれないが、利上げサイクルの終焉が見えている中で、ドル円が金融政策の格差拡大を材料に積極的に上値を追うにはインセンティブに乏しい。株高などリスク選好が強まれば、円安がドル円を押し上げるシナリオも考えられるが、現状からはそこまでの雰囲気はない。142円台半ばをひとまず上値メドと見ているようだ。
今週のFOMCとECB理事会を受け、ユーロドルは5週間ぶりの高値まで上昇。1.10ドル台にはなお慎重なようだが、上値追いの流れは堅持している。ただ、今後のユーロ圏の経済指標がユーロ高を抑制する可能性があるとの指摘も出ている。ユーロドルの上昇はそれほど長くは続かないという。
また、来週はユーロ圏のPMIの発表が予定されているが、企業景況感は依然として弱い内容が予想されており、ユーロドルが1.10を完全に上抜いて行くことはあまり期待できないという。
今週、FRBは利上げを一時停止し、ECBは0.25%ポイントの利上げを行った。来週の21日と22日にパウエルFRB議長が米議会で半期に1度の金融政策報告を行うが、議長はそこで、「今回の決定は利上げサイクルの一時停止ではない」と、緩やかなペースの利上げ継続を改めて表明すると思われる点も指摘した。
ポンドドルはNY時間に入ってやや伸び悩んでいるものの、1.28ドル台を維持しており、昨年4月以来の高値水準で推移している。今週はFOMCやECB理事会などで、中銀がタカ派姿勢を温存していることが示された。来週22日に英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、市場は追加利上げをほぼ確実視している状況。
ただ一部からは、今週のFOMCやECB理事会を通過して、英中銀の過度な引き締めリスクへの見方が後退しており、場合によっては0.50%ポイントの大幅利上げの可能性も正当化されるとの見解も出ている。しかし、大半のエコノミストは0.25%ポイントの利上げを予想している。
最近発表された英インフレと賃金のデータが予想よりも強かったため、英中銀が引き締め過ぎるリスクは存在していないという。3カ月前よりも英中銀はターミナルレート(最終到達点)から遠ざかっており、年内は利上げが続く可能性が指摘されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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