ドル円が138円台に下落 米雇用指標が労働市場の軟化を示唆=NY為替概況
ドル円が138円台に下落 米雇用指標が労働市場の軟化を示唆=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円は138円台に下落した。朝方発表の米新規失業保険申請件数が労働市場の軟化を示唆したことから、米国債利回りの低下と伴に売りが膨らみ、ドル円も138円台に下落した格好。米新規失業保険申請件数は2021年10月以来の高水準の増加となり、企業のレイオフ発表が実際の雇用削減につながり始めた可能性が示唆されている。
前日はカナダ中銀が予想外の利上げを実施したことから、カナダ債と伴に米国債利回りも上昇し、ドル円も140円台を回復していた。カナダ中銀の利上げで来週のFOMCへの思惑が高まった格好で、短期金融市場では利上げの確率を若干上昇させている。それでも30%程度で、据え置きと見ている向きが圧倒的に多い。
来週のFOMCについては、利上げ一時停止の可能性が高いと見ているものの、経済見通しやFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)を上方修正し、7月利上げの可能性を示唆してくると見られている。
ユーロドルは買い戻しが膨らんでおり、1.07ドル台後半まで戻す展開。本日の21日線が1.0770ドル付近に来ており、その水準に顔合わせしている。
ユーロに関しては来週のECB理事会が最注目のイベントだが、ECBは明確なガイダンスを示さずに利上げを実施する可能性があるとの指摘が出ている。ECBは来週の理事会で0.25%ポイントの利上げを行うと予想されているが、今後の決定について明確にしないまま、政策金利がピークに近づいていることを示唆する可能性があるという。
しかし、ECBは政策金利がより長く制限的な領域に留まる強いメッセージを発信するとも指摘している。
ポンドドルは買戻しを強め、1.25ドル台半ばまで上昇。きょうの上げで21日線を上放れる展開を見せており、明日以降の動きが注目される。英中銀の利上げが経済に打撃を与える可能性があるため、ポンドは下落の可能性があるとの指摘が聞かれる。最近のポンド上昇はインフレ圧力の持続による英中銀の利上げ期待の上昇を反映しているが、これは長続きしないという。
金利上昇は低成長や景気後退に関連するあらゆる経済的リスクを高めることを意味している。昨年のポンド相場で実証されたように、景気後退への懸念は短期金利上昇によるポンドへのプラスの影響を圧倒する可能性があるとした。
英経済指標が第3四半期にストレスの兆候を強めるという想定と、米金利がより長く高止まりし、ドルが支持され続けるという想定を合わせると、ポンドドルは向こう3カ月で1.22ドルまで下落する可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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