米GDP受けドル買い強まる ドル円は一時134円台に上昇=NY為替概況
米GDP受けドル買い強まる ドル円は一時134円台に上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場は、この日発表の米GDP速報値を受けてドル買いが強まった。第1四半期の米実質GDPは前期比年率換算で1.1%増と予想(1.9%増)を下回り、個人消費も3.7%増と予想を下回った。景気の鈍化を示す内容ではあるが、市場のインフレ警戒感が強い中で、GDPデフレータやPCEコアデフレータが前回を上回り、予想も上回ったことに敏感に反応している模様。ドル円は一時134円台に上昇した。
今回の米GDPの数字は来週のFOMCでの0.25%ポイントの利上げ期待を正当化し、利上げが確実視されている状況を追認する内容。ただ、ファースト・リパブリック問題など金融不安は依然として解消されていない中、6月FOMCおよび年内利下げ期待についてはなお未知数。これらについては、更にこの先のデータを確認したいといったところだ。
明日は植田総裁就任後初となる日銀決定会合の結果が発表される。オプション市場ではサプライズに備えた円高警戒が3月の時以上に高まっているようだが、基本的には現状の金融緩和を据え置くというのが大方の見方となっている。明日は展望レポートも公表されるが、2023年度のコアCPIの見通しを1月の1.6%から2.0%近くに上方修正されるとの観測報道も流れている。
それでもインフレ目標の範囲内ではあるが、期待成長に問題がなければ、日銀が異例の金融緩和を続ける必要性はない。ただ、世界的に年内の景気後退が警戒されている中で、植田日銀はどう先行きを見ているのか、注目されるところではある。
ユーロドルは戻り売りに押され、一時1.10ドルを割り込む場面も見られた。ただ、1.10ドルを下回ると買いも入るようで1.10ドル台は維持されている。
依然としてECBの利上げ期待がユーロの下値をサポートしているようだ。来週5月4日の理事会については、利上げは確実視されているものの、利上げ幅については見方が幾分分かれている。それについては前々日の5月2日に発表される、ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値が解決してくれるのかもしれない。
市場で最も期待感の高いシナリオとしては、0.25%ポイントずつ、7月理事会まであと3回の利上げを実施し、中銀預金金利を3.25%まで引き上げて、利上げサイクルを一時停止というのが有力視されているようだ。9月の理事会までにコアインフレがピークに達し、経済が減速していることを示す十分な証拠を得ていると考えられている。
ポンドドルは一時1.24ドル台半ばまで下落する場面が見られた。ただ、本日の21日線は1.2435ドル近辺に来ているが、その水準での下値支持も強いようで、いまのところ21日線の水準は維持されている。
ポンドもユーロと同様に、英中銀の利上げ期待に下値を支えられている。米大手銀のエコノミストからは、英中銀は0.25%ポイントずつあと3回利上げを実施し、政策金利をFRBとほぼ同水準の5.00%まで引き上げるとの見方が出ている。現在の政策金利は4.25%。
ここ数週間、予想を上回る英経済指標が相次いで発表されており、インフレ、賃金といった調査データのすべてが、生活費危機に直面しても経済が持ちこたえていることを示しているという。5月11日の英中銀金融政策委員会(MPC)では0.25%ポイントの追加利上げが行われる可能性が非常に高く、英中銀の成長見通しも悲観的過ぎることが判明している。そのことから大幅な上方修正も期待されるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。