米CPIにドル売りの反応 ドル円は一時132円台 ただ、5月の利上げ確率は温存=NY為替概況
米CPIにドル売りの反応 ドル円は一時132円台 ただ、5月の利上げ確率は温存=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円は一時132円台に下落した。この日発表の3月の米消費者物価指数(CPI)にドル売りの反応を見せている。総合指数はエネルギー価格の低下でインフレの鈍化傾向を示した一方、コアインフレは依然として鈍化傾向までは見られていない。ただ、上昇傾向も見せていない状況。
先週の米雇用統計と今回の米CPI結果から、短期金融市場では、5月FOMCでの0.25%ポイントの利上げの確率を70%以上で見ているものの、利上げ停止および年内の利下げへの期待も高めたようだ。
市場からは、今回の数字は先行きのインフレ鈍化の兆候も示したが、サービスセクターでの根強いインフレを浮き彫りにしており、FRBは少なくともあと1回は利上げを実施する可能性が高いとの指摘も聞かれる。
なお、パウエルFRB議長が重視する「スーパーコア(住居費を除くサービス業)」のインフレは前月比+0.4%と前回(+0.5%)からは伸びが鈍化していた。
ユーロドルは買いが加速し、心理的節目の1.10ドルちょうどを付ける場面も見られた。ただ、1.10ドル付近では利益確定売りやオプション絡みの売りも多数観測されており、現在は1.09ドル台後半での推移。目先は2月に付けた年初来高値の1.1035ドル付近が意識される。
きょうはホルツマン・オーストリア中銀総裁の発言が伝わっていたが、「5月に0.50%ポイントの利上げが必要になる」との見解を示していた。同総裁はECB理事の中でもタカ派色が強い総裁として知られている。
短期金融市場ではいまのところ、0.25%ポイントの利上げは十分に織り込んでいるものの、0.50%ポイントに関しては懐疑的な見方をしている状況。5月に0.25%、6月に0.25%ポイントがメインシナリオとなっている。
ポンドドルは買い戻しが優勢となり、1.24ドル台後半に上昇。本日は一時1.24ドルを割り込む場面が見られていたが、この日の米CPIを受けて買い戻しが強まった。ただ、1.25ドル台にはなお慎重といった雰囲気。
明日は2月の英月次GDPが発表される。予想では前月比0.1%のプラス成長が見込まれているが、一部からは、若干のマイナス成長の可能性もあるとの指摘も出ている。2月は鉄道労働者や医療従事者のストライキにより、穏やかな景気縮小を示す可能性があるという。1月が堅調に推移した後、2月は公共部門のストライキが0.2%ポイント下押しし、マイルドな縮小が予想されるという。
なお、本日はカナダ中銀の金融政策委員会の結果を発表し、カナダドルは買いの反応が見られていた。カナダ中銀はすでに前回の会合から利上げを停止しているが、今回も予想通りに金利を据え置いた。しかし、声明では「金利の制限性を評価しつつ、再利上げの用意がある」と述べたことで、カナダドルは買いの反応を示した模様。
*米消費者物価指数(3月)21:30
結果 0.1%
予想 0.3% 前回 0.4%(前月比)
結果 5.0%
予想 5.2% 前回 6.0%(前年比)
結果 0.4%
予想 0.4% 前回 0.5%(コア・前月比)
結果 5.6%
予想 5.6% 前回 5.5%(コア・前年比)
*英月次GDP(2月)13日15:00
予想 0.1% 前回 0.3%(前月比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。