ドル円は133円台で上下動 明日の米CPI待ちの中、全体的に様子見=NY為替概況
ドル円は133円台で上下動 明日の米CPI待ちの中、全体的に様子見=NY為替概況
きょうの為替市場はドル売りが再び優勢となる中、ドル円は一時133円台前半に値を落とした。しかし、米株がしっかりと推移したほか、米国債利回りもプラス圏を維持する中、ドル円は後半になって買い戻しが膨らんだ。本日の100日線が133.30円付近に来ているが、その上の水準で推移。
先週の米雇用統計が5月FOMCでの利上げを正当化する内容となったが、全体的には様子見の雰囲気で、次の展開をうかがう雰囲気が強い。目先は明日の米消費者物価指数(CPI)の反応待ちといったところ。ドル円は133円台で上下動している。
米CPIは総合指数は前年比で鈍化傾向が続くことが予想されている。3月のガソリンの価格は前月から若干の下落に留まっているものの、前年からは大きく下落している。ただ、OPECプラスが突如の減産を発表し、原油価格が再び上昇していることから、今後数カ月間の動向は不透明なところもある。
一方、注目のコアインフレは依然として高い数字が予想されており、最近のインフレ鈍化は一過性の要素も強い中、インフレ基調の低下はもっとゆっくりとしていることを示唆している。住居費はピークを脱したと見られているが、コアサービスのインフレは高水準の維持が見込まれている。パウエルFRB議長が注目しているとされる、住居費を除くサービス業のインフレ動向、いわゆる「スーパーコア」と呼ばれている部分は引き続き、鈍化の兆しは見られていないと予想されているようだ。
予想通りであれば、5月FOMCでの0.25%ポイントの利上げ観測を追認する内容となりそうだ。予想を上回るようであれば、市場が期待している年内利下げ期待が後退する可能性もあり、その場合、ドル高の反応も留意される。
ユーロドルは1.09ドル台を回復。前日は1.08ドル台前半まで下落していたが、その下げを取り戻す展開。1.10ドル台には慎重なものの、21日線の上はしっかりと維持し、次の展開を待っている状況。ただ、次の材料は米国発の可能性が高い。
市場からは、ドイツ経済に対する楽観的な見方が相次いで出ている。先週は2月のドイツ鉱工業生産が発表になっていたが、それを受けてエコノミストからは、ドイツ製造業は年明けに回復し、それによって、同国の成長見通しをより楽観視できるようになったとの指摘が出ている。
2月のドイツ鉱工業生産は前月比2.0%増加し、3月に予想される1.5%の減少を考慮しても、第1四半期の生産は3.0%増加することになるという。これは、第1四半期のドイツGDPの上振れリスクを示唆しているとし、自身の成長見通しも0.1%ポイント引き上げて前期比0.2%としたという。
ポンドドルは伸び悩む動きが見られたものの、一時1.24ドル台半ばまで買い戻される場面も見られた。一部からは、英中銀が利上げサイクルを一時停止するとの見通しから、ポンドは対ユーロにで下落し、ドルに対してはあまり上昇しない可能性があるとの見方が出ている。市場では現在、英中銀がこの夏までにさらに0.25-0.50%ポイントの利上げを実施するとの見方が示されているが、英中銀が現在の4.25%で一旦利上げを停止するリスクを市場は過小評価しているという。
その場合、ユーロポンドは0.89ポンドまで上昇する可能性があり、ポンドドルはFRBがまだ利上げの最終段階にある間は、1.25ドル台以上を維持するのに苦労するかもしれないとしている。
米消費者物価指数(3月)12日21:30
予想 0.3% 前回 0.4%(前月比)
予想 5.2% 前回 6.0%(前年比)
予想 0.4% 前回 0.5%(コア・前月比)
予想 5.6% 前回 5.5%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。