ドル円は132円台に下落 雇用指標きっかけにドル売り優勢に=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は132円台に値を落とした。この日発表の米新規失業保険申請件数が前回から増加したことをきっかけにドル売りの反応が強まり、ドル円も戻り売りが強まった。
米株式市場で買い戻しが膨らんでおり、リスク回避のドル買いが一服したこともドル円を圧迫した。年末で市場参加者が少ない中、流動性が低下しており、荒い値動となっている。本日の21日線は135.05円付近に来ているが、その水準には到達せずに戻り売りに押された格好。
中国の感染拡大への警戒感からリスク回避のドル高が見られていたが、全体的にはポジション調整の範囲内といったところのようだ。来年は円高リスクも警戒される中でドル円の下値警戒感は高まっている。ただ、いまのところは本格的な下押しの動きまでは見られていない。
ユーロドルは買い優勢となった。ただ、1.06ドル台での上下動に変化はない。来年のユーロについては今年のドル高が後退するとの見方から、堅調な値動きを期待する声も出ている。ただ、今年のドルのように上値を積極的に試す展開は、いまのところ考えずらいという。
ECBは先日の理事会で予想以上にタカ派姿勢を堅持し、引き締めの長期化も示唆した。次回2月、3月も0.50%ポイントの利上げが見込まれている状況。ただ、ECBのタカ派姿勢だけではユーロの支えにはならないと指摘。ECBの政策と実体経済への影響には時間差があり、その分、ユーロ圏経済への重石が大きくなるという。来年のユーロ圏の成長見通しは0.5%程度を予想しているようだ。
なお、ECBは来年に少なくとも4回の利上げを行い、6月までに中銀預金金利を3.50%まで引き上げると予想されている。ユーロドルは1.10ドルが上値ターゲットとなっているようだが、そこから上には慎重なようだ。
ポンドドルも買い優勢。200日線が1.2050ドル付近に来ているが、その付近での値動きに終始している印象。上値が重い雰囲気に変わりはないが、心理的節目の1.20ドルはかろうじて維持している状況。
来年のポンドに関してはネガティブな見方が多い。英中銀は追加利上げの必要性には言及しているものの、慎重な見方を強めている。また、高水準の政府債務、厳しい経済見通し、EU離脱の影響などを考慮すると、ポンドはあまり魅力的ではないという。
高水準の政府債務を減らすには、緊縮財政や経済成長による歳入増などの様々あるが、英国は社会保障制度や医療制度に問題を抱えており、緊縮財政は痛みを伴う上、成長の見通しも弱くなる。また、EU離脱が間違っていたという印象もすぐには変わりそうもないとも指摘している。来年のポンドドルは今年回避したパリティ(1.00ドル)割れを試すとの大胆な見方も出ているが、ドル高はピークアウトとの見方も多く、そこまでの下げの可能性が小さいのかもしれない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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