ドル円は133円台半ば 米寒波は大きな打撃を与えないとの見方=NY為替概況
クリスマス休暇明けのドル円はNY時間にかけて買戻しが膨らみ、133円台半ばまで上昇した。中国政府が厳格なゼロコロナ政策を転換し、1月初旬に海外からの入国者の検疫要件を解除すると発表したことから、市場にはリスク選好の雰囲気が広がっている。ただ、ドルは年末年始で動きが鈍く、狭いレンジ内での取引に留まっている状況。米株式市場も買い先行で始まる中、リスク選好の円安が復活しており、ドル円、クロス円とも底堅い動きをしている。
米国に深刻な寒波が到来しており、クリスマス休暇中に航空便の欠航などが相次いでいる。ただ、市場の一部からは、景気への影響も心配されているが、第4四半期の成長には大きなダメージを与えることはないとの見方も出ている。
一部の産業は混乱し、その影響で今後数週間のうちに新規失業保険申請件数を増加させる可能性があるが、衝撃は短く、一時的なものであるため、生産と収益の大きな損失が続くことはないという。失われた生産高は2023年の第1四半期に取り戻される可能性が高いとも述べた。ただ、住宅などの天候の影響を受けやすい産業は影響を受けることは確実だとしている。
ユーロドルはクリスマス休暇前の流れを維持。上値には慎重だが、21日線の上でしっかりとした推移が続いている状況で、9月末からのリバウンド相場を続けている。先日のECB理事会では、ECBのタカ派姿勢が確認され、2月、3月の理事会でもそれぞれ0.50%ポイントの利上げが期待されている。ただ、リセッション(景気後退)入りが確実視される中で、ユーロ圏ではスタグフレーションへの懸念も高まっている。
きょうはデギンドスECB副総裁の発言が伝わっていたが、「ユーロ圏は非常に困難な経済状況に直面しており、個人と企業が試されることになるだろう」と述べていた。欧州全域で見られる高インフレは経済の減速と低成長と重なっていると指摘していた。
ポンドは上値の重い展開が続いており、対ドルで下落しているほか、対ユーロでも売りが続いている。ポンドドルはいまのところ維持はしているものの、本日も大きな心理的節目の1.20ドルを試す動きが見られた。きょうの200日線は1.2065ドル付近に来ているが、その下での推移となっている。
英中銀は慎重ながらも追加利上げの姿勢を崩していない。しかし、英経済への厳しい見通しが楽観的な見方を弱めており、恐怖心の強さを示す指標では弱気派がポンドを支配しているという。
ポンドにとって激動の1年が終わろうとしているが、2023年が大きく変わりそうな証拠はほとんどなく、英経済の悪化の兆しが次々と表れるにつれて、市場はポンドに対して疑心暗鬼になっているとの指摘も聞かれた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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