ドル円は買い戻しが続く ドルは再び上昇する可能性=NY為替概況
きょうのNY為替市場、きょうもドル円は買い戻しの流れが続き、一時133円台に上昇した。たた、上値が重く、日銀サプライズからの戻りが鈍い雰囲気に変化はない。クリスマス休暇を前に市場参加者も少なくなって来ている中、市場のモメンタムは低下しているようだ。
来年の為替相場だが、第1四半期まで米労働市場の底堅さを示すデータが続けば、ドルは再び上昇する可能性があるとの見方が出ている。ただし、ドル高はそう長続きすることはないという。インフレは今後数カ月で緩和するかもしれないが、労働市場のタイトな状況が予想以上に長引き、FRBのタカ派スタンスを正当化する可能性があるという。
第1四半期はこの点に市場の注目が集まり、リスク回避が再燃し、それに伴ってドル高が進むと見ている。しかし、第2四半期には労働市場も弱含み、賃金インフレに対する懸念が緩和されることが予想される。それによりFRBのタカ派姿勢解除への期待からドルは下落し、さらにそれは第4四半期の利下げを支持するシナリオも想定されるという。
明日からのクリスマス休暇を控える中、ユーロドルも動意薄の展開となっており、1.06ドル台前半での振幅が続いている。次第に上値は重くなっている雰囲気も強まりつつあるが、本日1.0535ドル付近に来ている21日線の上はしっかりと堅持しており、リバウンド相場を維持している。
ユーロドルを考える上で米独の金利差はポイントの1つと思われるが、市場からは米独の10年債利回り格差はさらに縮小の余地があるとの指摘も出ている。その主な理由としてはECBがFRBよりもタカ派的であることと、ユーロ圏で国債の供給が大幅に増加している点を挙げている。さらに、欧州のインフレ鈍化が米国に遅れをとっている点も明らかだという。
ポンドドルは1.20ドル台での方向感のない展開。前日は1.20ドルを瞬間的に割り込む場面もみられたものの、いまのところ水準は維持している。本日の200日線が1.2075ドル付近に来ているが、上値抵抗となっているようだ。ただ、下放れる動きまでは見せておらず、まだ、リバウンド相場をかろうじて維持しているといった印象だ。
来年のECBは英中銀よりも金融政策を引き締める可能性があり、ポンドはユーロに対してさらに下落する余地があるとの見方が出ている。今年のポンドはG10通貨の中で3番目に悪いパフォーマンスとなっている一方、ユーロのパフォーマンスはG10の中でトップに近く、ユーロを上回っているのはドルとスイスフランだけだという。ウクライナ紛争やユーロ圏の景気への不透明感を考えると、これはなかなかの結果だとしている。
今週の日銀のサプライズ調整を受けて、4大主要中銀の中で、これまでの日銀に代わり、来年以降は英中銀がハト派の急先鋒になるとの見方が出ている。英中銀は先週の金融政策委員会(MPC)で追加利上げの必要性を示しながらも、ECBとは対照的に慎重姿勢を強調していた。市場は現在、英中銀の利上げをあと計1.25%ポイントと予想しているが、英住宅問題や先週の政策委員会(MPC)で委員の投票が3つに分断していたことなどを考えると、英中銀に引き締め余力はあまりないと見られている。一方、ECBは市場の予想以上にタカ派姿勢を強調し、0.50%ポイントの利上げを2月と3月にも実施が見込まれている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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