リスク回避の雰囲気継続 ドル円は一時136円台前半に下落=NY為替概況
きょうの市場は米株式市場の売りが続くなど、リスク回避の雰囲気は継続する中、ドル円は一時136円台前半に下落した。前日のドル円は一時138円台まで急伸していたものの、きょうは戻り売りが強まっている。21日線で蓋を被せられた格好となっており、10月からの下落基調は続いているようだ。目先は200日線が135円台半ばに来ており、下値メドとして意識される。
市場からは、年内発表の米経済指標が弱く、リセッション(景気後退)への警戒感が高まる可能性があることから、ドルはクリスマスまでに一段と下値を試す可能性があるとの指摘も出ている。前日発表の11月の米小売売上高と12月のNY連銀景況指数は両方とも予想を下回った。本日の12月調査分の米PMI速報値も弱い内容。
いずれの指標も米経済の鈍化傾向を示唆しており、通常であれば景気後退への懸念が高まり、タカ派を堅持しているFRBにプレッシャーを与えるはずだという。
ユーロドルは上値の重い展開となり、1.06ドルを割り込んでいる。ECBは前日の理事会で0.50%ポイントの利上げを実施した。想定通りではあったが、追加利上げの必要性も強調し、ラガルド総裁は0.50%ポイントの利上げがあと数回必要になる可能性にまで具体的に言及していた。想定以上にタカ派な印象でユーロドルも発表直後は1.0730ドル付近まで急上昇。しかし、その上げを維持できずに、直ぐに戻り売りに押され、理事会の結果発表前の水準を下回っている状況。むしろ、FRBのタカ派姿勢を再認識し、株式市場が急落していることから、リスク回避のドル買いに押されてしまったようだ。
この動きを受けて市場からは、為替市場が金融政策に無関心になっていることが浮き彫りになっているとの指摘も出ている。FRBもECBもタカ派姿勢を堅持したことで、金融格差よりもむしろ、リセッション(景気後退)への警戒感が、より市場に広まっている可能性があるという。過去12カ月間の金利差とユーロドルの動きにも、ほとんど相関が見られていないという。より重要なのは、欧米の株式をはじめとするグローバルなリスク選好度の比較だという。
ポンドドルは下げが一服したものの、上値の重い展開。前日のポンドはドルのみならずユーロに対しても下落していたが、FRBおよびECBと英中銀との金融政策に対する姿勢の違いがポンドを圧迫しているようだ。また、英経済のリセッション(景気後退)への懸念も引き続きポンドを圧迫。英中銀は前日に景気後退入りの可能性を示唆し、マイナス成長の見通しを示していた。
ロンドン時間に12月の英PIM速報値が発表になり、予想こそ上回ったものの、依然として活動の縮小を示唆する内容となっていた。依然として判断基準の50を下回り、英企業が景気後退に備えつつあることが示されている。
英中銀はきょう、量的引締め(QT)プログラムの下で保有した国債の売却の概要と来年第1四半期の運用方針を公表した。第1四半期は、短期、中期、長期の国債をそれぞれ6.5億ポンドずつ5回に分けて入札し、各ターム計32.5億ポンドずつ、総計97.5億ポンドを売却するとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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