米小売売上高が予想外の増加でドル買い強まる ドル円も買戻し=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って買い戻しが強まり、109.80円付近まで一時上昇した。東京時間には109円台前半まで下落していた。この日発表の米小売売上高が予想外の増加となったことで、ドル買いが強まったことがドル円をサポート。終盤に米株式市場が買い戻されたこともフォローとなった。ただ、きょうのところは110円台回復を目指す動きまでは見られていない。米株式市場が軟調に推移しており、ドル円も上値に慎重になっているようだ。21日線と100日線が109円台後半に来ているが、目先はその水準を回復できるか注目される。
米小売売上高の予想外の増加については、新学期に向けた購入や子育て世帯への給付金などが下支えし、商品への需要の強さを示唆した。一方、デルタ株の感染拡大の影響も見られ、旅行や娯楽などのサービス需要は抑制されている。飲食店は前月比横ばいとなった。自動車や家電製品はサプライチェーンや半導体不足の影響もあって依然として弱い。ただ、今回の小売売上高をもって、FRBの姿勢に変化があるとみている向きも少なく、来週のFOMCでの資産購入ペース縮小のアナウンスはないとの見方は依然多い。
ユーロドルは売りが加速し、1.17ドル台半ばまで下落。きょうの下げで1.1780ドル付近に来ている21日線をブレイクしており、下放れの展開が見られている。早期に1.18ドル台に戻せるか注目される展開となっている。やはりユーロの上値は重い印象。先日のECB理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での債券購入の縮小はアナウンスしたものの、同時に慎重姿勢も強調していた。ラガルド総裁は、今回の決定は資産購入ペース縮小とは別物と強調していた。
市場からは、ラガルド総裁はドイツ選挙に先立って、PEPP関するコミュニケーションで優れた仕事したと評価する声も出ている。ドイツの総選挙が9月26日に迫る中で、債券市場の混乱を回避したと述べている。総裁はドイツ総選挙を前に、資産購入の賛否についての議論を避け、周辺国債の利回りを低く保つというECBの現在の目標に首尾よく焦点を合わせたという。
ポンドドルも売り優勢。朝方発表の米小売売上高が予想外の増加となったことで更にドル買いが加速。ポンドドルは1.37ドル台に下落しており、一時1.3765ドル付近まで下落した。本日の21日線が1.3775ドル付近に来ているが、その水準に顔合わせしている。きょうの下げで1.3835ドル付近に来ている200日線を下放れる展開が見られており、下値警戒感が高まっている。
来週23日に英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。今週の英雇用統計や英消費者物価指数(CPI)は強い内容となったものの、据え置きの声が多いようだ。一部の金融機関からは、8月のMPCを受けて来年2回の利上げを見込も声も出ている。22年5月のMPCで0.15%引き上げ0.25%に、さらに来年11月に0.25%引き上げて0.5%に上昇するという。要因として労働市場の急速な改善を挙げている。需給問題のミスマッチ解消されつつある中で、英中銀はインフレ上昇は一時的と確信しているが、労働市場にも同じことが当てはまるかは定かではないと指摘。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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